今はVRを持ち歩く、例えば、VRを楽しみながら街路を歩くということはないでしょうが、やがてそうなることは想像できます。ARメガネの主なユースケースの1つはVRになるはずです。そして、VRを利用できるモードに切り替えることが可能になるでしょう。しかし、それは決して実際のVRゴーグルほど完璧なものにはなりません。
したがって、両方の市場が共存すると思います。私たちはスマートフォンでテレビ番組を見ることもありますが、ほとんどの場合、テレビで見る方を好むのと同じことです。私はどちらも重要だと思います。
確かに、われわれはARに焦点を当てた、より長期的な研究も進めています。しかし、VRへの取り組みが現在も活発であることは間違いなく、VRこそが、われわれが目標を達成するための手段だと考えています。
--VRは現在、どの程度普及していますか。
順調ですが、具体的な数字を明かすことはできません。とはいえ、製造するのと同じくらいの速さで売れていると言っても問題はないでしょう。
私がエコシステムをこれほど重視しているのは、現在の規模では、大手のAAAタイトル(一流)の開発元が「VR向けゲームの制作にすべてのリソースを投入しよう」と言えるほどの収益性がないからです。VRを持っている人がそこまで多くないので、投入した資金をすべて取り戻す、あるいは、VRを少なくとも「Xbox」向けゲームの開発よりも優れた投資にすることができないからです。
われわれはクリティカルマスが存在すると考えていますが、現在われわれが注力していることの多くは、そのクリティカルマスに到達するためのものです。それには、大規模な投資、そして、現在単独では収益性が低いかもしれない開発者からコンテンツを購入したり、ライセンシングしたりすることも含まれますが、それはどのようにして収益性が向上するか因果関係が分からないためです。
--MicrosoftのXbox、ソニーの「PlayStation」、任天堂の「Nintendo Switch」といったゲーム機の世界では、開発者がゲームを移植して、さまざまなシステムでプレイできるようにしていますが。
私の知る限り、現在、ほかの誰もOculus Questのようなものを作っていません。したがって、それに関しては、われわれはかなり先を行っています。すべてのコンピューティング能力を働かせ、熱設計の枠内で機能させるだけです。われわれは、そのデバイスを手頃な価格にしたいとも思っています。そのため、コストの削減にはかなり積極的に取り組んでいます。その点に関して、われわれはライバルのかなり先を行っていると思います。
--短期的に見て、Oculus Questはさらに進化を遂げていくと思いますか。
そのためには、多くのことを実現する必要があります。現在のフォームファクターは、われわれが未来に期待するものとは違います。現状のフォームファクターは非常に大きくて扱いにくいものになっています。将来的にそれを改善するために、多くの研究が進められています。
それから、400ドルという価格は、機能を考えればかなり妥当な価格だと思いますが、今後はもっと価格を下げる必要があるでしょう。よりハイエンドで、より低価格なものを用意するのも、1つの方向性かもしれません。しかし、そのためには、われわれがこれから何年もかけて取り組んでいかなければならないでしょう。
--アイトラッキング(視線追跡)についてはどうですか。VRとARの鍵になると考えられている技術です。アイトラッキングのデータの扱いに関する疑問もあります。Oculusはまだアイトラッキングを実用化していません。
追加したいセンサーはたくさんありますが、解決しなければならない問題もあります。考えられるすべてのセンサーを追加すれば、デバイスが大型化し、エネルギー消費量が増えるということもその課題の1つです。それらがアイトラッキングに関する基本的な制約となるでしょう。社会的に受け入れられるのか、合理的なものを作ることはできるのか。それから、バッテリーをすぐに使い切ってしまったり、顔に装着するのに熱くなりすぎたりしないようなエネルギー消費のデバイスを作ることは可能なのか、という問題があります。
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