その目標を達成するために、Facebookは3種類のヘッドセットを発表した。それらはすべて、画面をユーザーの目の近くに配置することで、コンピューターによって生成された世界の中に自分が本当にいるかのような錯覚を抱かせる。ローエンドで低消費電力の「Oculus Go」(2万3800円~)、より高性能で完全ワイヤレスの「Oculus Quest」(4万9800円~)、最も高性能でPC接続型の「Oculus Rift S」(同じく4万9800円~)がある。
Zuckerberg氏によると、次の課題は、ユーザーがOculusヘッドセットを装着した瞬間に現実世界とは別のデジタル世界にいると実感できるような、新しいテクノロジーを考え出すことだという。
「ARとVRの役割は、『実際にそこにいる』感覚を提供すること。ユーザーが実際に誰かと一緒にそこにいるような、非常に深いつながりの感覚だ」(同氏)
Facebookの最新の技術革新はハンドトラッキングである。これにより、ユーザーはOculus Questの映像を、現在のコントローラーではなく、手で操作することができる。
この技術は企業や学校で大いに役に立つとFacebookは考えている。同社が本社で実施したデモでは、ハンドトラッキングは少し低速ではあったものの、なかなかうまく機能していた。
Facebookにとって手を使用する操作は、アクセシビリティーを意味し、それは未経験のユーザーや作業者がVRを気軽に試せるようにするための手段でもある。コントローラーを排除することは、Facebookが拡張現実でのインターフェースを構築する方法を考え出す最初の一歩にもなるかもしれない。
Zuckerberg氏は、FacebookのVRに関する計画、自社を揺るがしたプライバシー関連のスキャンダルが仮想事業に及ぼす影響、そしてVRの成功に必要と思うものについて語った。
Zuckerberg氏へのインタビューを抜粋して編集したものを以下に掲載する。
--こうしたさまざまな新テクノロジーを開発している間も、偽ニュース、選挙への干渉、プライバシーの問題への対応に苦慮されているようですが、これらの問題はVRやARにどのような影響を及ぼすと思いますか。
確かに、われわれが対応を迫られている問題はたくさんあります。例えば、コンテンツのモデレーションに関して、表現の自由と安全性の適切なバランスを見つけることや、特に公正な選挙に向けた多くの取り組み、プライバシー、われわれが促進しようとしているつながりが人々の幸福に良い影響を与えるようにすること、良くない結果になりそうなものまたは危険になるおそれのあるものを緩和することなどです。
人々はソーシャルメディアについて、さまざまな疑問を抱いています。この数年間、われわれはそれらの疑問に対処し、解決にも努めてきました。現在でも、多くの疑問が残っています。これらは完全に解消できるものではないと思います。脅威は進化を続け、それに対処する必要が生じます。しかし、これらのエコシステムが成熟する頃には、そうした問題に対するわれわれのアプローチもかなり成熟したものになり、十分に吟味され、ほとんどの人はわれわれのアプローチに対してもっと寛容になることを私は期待しています。
--ARとその将来性については、さまざまなことが語られています。MicrosoftにはHoloLensがあり、Magic Leapもデバイスを提供しています。あなたもARメガネの開発に言及しました。報道によると、Appleもメガネを研究開発しているそうです。そうした状況で、VRの立ち位置はどこにあるのでしょうか。
VRはこうした状況の中心的役割を果たしていくことになるでしょう。前にも話しましたが、VRは人々が思っている以上に大きくなると思います。
簡単なたとえ話をしましょう。スクリーンの使い方と自分の時間の過ごし方について考えてみると、私たちが携帯するのはスマートフォンですが、スクリーンを使用している時間の半分は、テレビの前で過ごされています。腰を据える時間が長く、その間に没入的な体験を楽しみたいと思うからかもしれません。したがって、未来についていえば、VRはテレビ、ARはスマートフォンと考えることができます。
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