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神戸をテクノロジー進化の「実験都市」に--神戸市・久元市長に単独インタビュー - (page 3)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2019年09月10日 08時00分
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神戸に足りないもの、神戸にしかないもの

——テクノロジーの進化を担う都市を目指すにあたり、神戸市にいま足りないものはありますか。

 世界中から優れた人材を引きつけるためには、ワクワクするような都市でなければいけないと思います。新しいビジネスが生まれていく雰囲気、環境と同時に、非日常性を作り出していく必要がある。あるいは自然発生的にその刺激があるような状態になっていなければならない。

 その点については、神戸はまだまだ不足しています。これは1995年に阪神・淡路大震災が発生したことが影響しています。神戸の街は完全に復興は終えているわけですけど、それは生活都市としての日常性の回復であって、震災で失われた当たり前の生活を取り戻すことができました。復興が終わった神戸が新しく目指す姿は、非日常性における魅力。これを我々はまだ作り出していない。それがなければ、おそらく世界中から優れた人材は集まってきません。

 しかし、テクノロジーを進化させるためにいま我々が取り組んでいるという雰囲気自体が、実は非日常性を生みつつあるとも思っています。若い世代が集まって、何か面白いことをやってみようという雰囲気を作り出していくことができれば、神戸は震災から完全に脱却して、真の意味で新しいステージに入ることができます。


 ただ、先ほども言ったように、テクノロジーに支配されるのではなく、テクノロジーを使いこなして、市民の生活をより豊かなものにし、幸福を作っていく。これが神戸の目指すべき大きな方向性です。震災によって大きな犠牲が払われた街であるからこそ、人間を大切にする都市でありたい。テクノロジーの活用によって、そういうヒューマンな都市を目指すことが非常に大事ではないかと思います。

——逆にビジネス環境としての神戸ならではの強みはありますか。

 東京都も大阪市もほぼ100%がDID(人口集中地区)ですが、神戸は3割未満です。神戸は自然や里山、農業や漁業と共生してきた街です。六甲山の北側には茅葺き民家がたくさん残っていますし、室町時代の神社仏閣も含め、自然と文化遺産に恵まれたエリアが広がっています。そして南側には海がある。

 このロケーションと、その間を海風が通り抜ける神戸の雰囲気は、東京にも大阪にも、おそらく名古屋にも京都にもないものですね。ここは非常に大きな魅力ではないかと思います。マッキンゼーがアジアで初めての研修拠点を神戸に設けたときも、他に上海やシンガポールが候補に上がりましたが、最終的に神戸に決まった大きなポイントは、そういう自然豊かな大都市としての雰囲気だったそうです。

 六甲山から眺める夜景も大変美しいですが、六甲山を単なる観光地とするのではなく、ここに光ファイバーや5Gを導入すれば、山上でベンチャー・スタートアップがビジネスや研究開発を展開できる可能性が高くなっていき、今後「六甲山上スマートシティ」のようなものが出現するかもしれません。

 夏は下界より6度ほど気温が低く、綺麗な夜景を見ながら、鳥のさえずりを聞きながら、そういうところで仕事ができる環境は、おそらく日本にはそんなにはないでしょう。これは神戸の強みです。我々はそういう大きなポテンシャルをもっているので、最大限に生かして、テクノロジーが進化し続ける実験都市としてのステージをたくさんの皆さんに提供したい。

 神戸がテクノロジーの進化のいわばパイオニア的な役割を果たして、テクノロジーが人間を幸せにすることができるというモデルを提示できれば、非常に名誉なことだろうと思っています。

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