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神戸をテクノロジー進化の「実験都市」に--神戸市・久元市長に単独インタビュー - (page 2)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2019年09月10日 08時00分
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神戸からワールドワイドに羽ばたいてほしい

——そのほかのテクノロジー企業との連携や取り組みについても教えてください。

 NTTドコモや楽天との連携もそうですが、テクノロジー分野の先端企業と連携して、新たな取り組みをしていきたいと考えています。地域課題の解決に向けた取り組みにテクノロジーの進化を担う人たちに参画していただきたいという思いからです。

 たとえば、スタートアップと行政職員が協働する地域課題解決プロジェクト「Urban Innovation KOBE」があります。行政の現場における課題を職員が発見したら、その課題の解決につながる提案を公募します。それに対して、スタートアップやベンチャーの皆さんに応募していただいて、職員が審査してコラボする相手を決めます。そして4カ月間、一緒に共同実験をします。共同実験がうまくいけば実展開していきます。

「Urban Innovation KOBE」
「Urban Innovation KOBE」

 たとえば、今まで手作業でやっていたレセプト点検(医療機関から提出された請求書類の内容審査)を自動化するプログラムや、子育て関連イベントをチラシやポスター、メールなどで周知していたものをアプリ化するといったものです。すでにかなりの成果が上がっています。

 これらは地域課題をテクノロジーで効率的に解決していこうというものです。神戸に行けば何らかの地域課題解決に参画できるということでもあり、スタートアップの皆さんに対して神戸がいわば実験のステージを提供するということでもあります。市役所の職員のマインドもテクノロジー指向に進化していくことができ、市役所の行政の進化にもつながる、といったメリットがあると考えています。

——神戸市ではコワーキングスペースが増えつつあります。11月には神戸にもWeWorkが進出しますね。

 IT企業には個別に様々な優遇策を設けて誘致していますが、神戸に進出してもらうためには、IT企業同士がコラボしながら新しいチャレンジをすることが必要です。そういう意味ではコワーキングスペースが非常に有効だと思っています。

 神戸でも2018年からコワーキングスペースを設ける取り組みが始まっています。神戸新聞社の「120 WORKPLACE KOBE」と、チャットワークの谷上プロジェクト「.me」、イディーの「ON PAPER」、そして「fabbit神戸三宮」です。11月にはWeWorkが、これまでで最大の3フロアで700デスクという非常に大きな規模のコワーキングスペースを設置します。

 スタートアップの皆さん、ベンチャーの皆さんにここで事業をスタートしていただき、巣立っていただきたい。神戸でビジネスを展開し続けてもらうのが一番いいのですが、大都市の場合、中でビジネスを展開してくださいという発想ではなく、そこからグローバル社会に旅立ってもらう都市であることが大事ではないかと考えています。

キャプション

 閉じ込めたり、囲い込んだりせず、コワーキングスペースからどんどん羽ばたいてもらって、ワールドワイドにビジネスを展開して、その中からユニコーンが生まれて、また改めて神戸を拠点にしてもらう。世界中にいろいろな拠点を作る中で、神戸もその1つにしてもらえるような、夢のある戦略を立てていきたいと思っています。

——職員の日々の業務のデジタル化についても教えてください。神戸市役所の建て替えにともない、職員との連絡にはチャットツールを使っているそうですね。

 庁舎の建て替え工事によって、市役所内のオフィスとオフィスの間が一時的に離れています。業務連絡のために行き来するのは面倒なので、チャットツールでやりとりできるようにしようと。ただ、神戸市の職員は全体で2万人以上いて、それだけの人数と一斉にチャットをしても議論が拡散するだけなので、まず市長・副市長と局長・区長でグループを作るなどしてチャットで議論し始めています。

 それと、人口が減少していく時代の中で、行政も生産性を上げていかなければいけません。そのためには、役所が漫然とやっている仕事をいかにやめるかが非常に大事です。私が6年近く前に神戸市長になったとき、職員の皆さんに「廃止すべき無駄な仕事をやめる勇気を持ちましょう」と呼びかけてきましたが、遅々として進んできませんでした。そこで「やめる提案箱」というものを作って、職員からやめるべきものをどんどん提案して意見を交わしてもらうことにしました。

 それまで、やめたくてもやめられなかったものについて、誰かがやめる提案をしたら、「そうだ」とか「これはひどかった」とか「迷惑していた」とか山ほどコメントがつきました(笑)。民間企業もそうですが、大きな組織は仕事が部署ごとに細分化されていて、お互いに何をやっているのかわからない。職場の実態がなかなか見えないけれども、チャットで自由に意見を言えるようにすれば、可視化されるだけでなく生産性の向上にもつながっていくと思うんです。

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