その考えは、筆者がSLUのキャンパスで学生3人から聞いた話でも裏付けられた。3人とも、自宅にスマートスピーカーがあったというのだ。
「うちの場合は、両親がクリスマスにAlexa端末を贈り合っていた」。航空宇宙工学専攻の2年生、Justin Pointerさんはそう答えてくれた。
大学の外でスマートホームの技術が普及している以上、入寮してくる学生が持ち込むものも変わってくる、とHakanson氏は言う。
「寮に持ち込みたいという学生も出てくるし、大学との連絡に同様の技術を使いたがる学生も出てくる。音声技術に、そしてAlexaやコネクテッドホームに関心が高いのは明らかだった」(Hakanson氏)
大学のチームがCESを訪れたことで、どのようにすれば音声アシスタントを最大限に活用して大学生活の体験を向上できるかという議論が始まった。その結果、寮生の生活に焦点を当て、スマートスピーカーをネットワークでつないだうえでSLU独自のAlexaスキルも開発し、新入生のキャンパスライフ案内に役立てるということになった。
テクノロジートランスフォーメーション担当の副学長補佐Kyle Collins氏が、SLU専用Alexaスキルの開発を主導した。目標は、新入生を大学生活に慣れさせることだった。
「新入生にキャンパスを知ってもらうこと、キャンパスに慣れてもらうことを目標に置いた。まだ17、18歳で、独り立ちしてよく知らない他人と一緒に生活するようになるのだから、ストレスは大変なものだろう。そんな大学生活に早く慣れることができるように手伝いたいと考えている」。Collins氏はこう話している。
Hakanson氏とCollins氏は、パイロットプログラムに取りかかった。GoogleとAmazonのスマートスピーカーを学生たちに渡し、セットアップから始めさせて、実際に使ったうえでレポートしてもらう。圧倒的多数の学生から支持されたのは、AmazonのAlexaだった。
Amazonには、AWS担当のチームがいて、Alexaスキルの開発ではAlexa for Businessの多大なサポートを得られたことも大きかった。スマートスピーカーの世界でも、Googleが本格的には取り組んでこなかった領域だ。
ことプライバシーの問題となると、音声アシスタントの主要なプラットフォームは、どれもそれなりに世間から懐疑的な目を向けられてきた。SLUのチームも、そのことはよく理解している。大学キャンパスでの利用にAlexa for Businessが妥当だった理由の一部も、この点にある。
「通常のAlexaプラットフォームは家庭用に作られており、使うのは全員が身内だ。一方、学生寮となると、赤の他人が2、3人ずつ1部屋に住むことになる。それを1つのアカウントでまかなったりしたら、多くのプライバシーの問題が出てくるだろうし、心配があるのは当然だ」、とHakanson氏は話す。
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