——ところで、1300人のエンジニアというのは、かなりの規模ですよね。
そうですね。ベトナムではこの規模のエンジニアを抱えている独立系企業は他にあまりないと思います。トレーニングしている学生も常に1000名ほど抱えていますし、いま僕らのベトナムでの採用力はすごく強くて、1カ月に1000人のエンジニア志望の履歴書が届くんですよ。
当社がベトナム全土のエンジニアにアンケートを取ったところ、Sun Asteriskに1年勤めると、普通の会社の3年分の成長ができる、というイメージがあるという結果が得られました。ここにいたら成長できる、というのが1つの魅力になっているみたいなんです。
何度もお話していますが、ベトナムへのアウトソーシングでは、ほとんどがコスト削減を目的にした運用保守が多いんですね。なので、エンジニア同士が新しい技術の話をしたり、勉強会を開いたり、イベントやハッカソンをやったりするカルチャーはありませんでした。開発者コミュニティもほとんどなく、関連するFacebookグループはせいぜい2個ぐらい。数年前まではFacebookが禁止されていましたし。
——ベトナムの開発者コミュニティはほとんど成熟していなかったんですね。
こんなに優秀な人たちがいるのに、エンジニアコミュニティのような文化がないのはもったいないと思って、そこを作った方がいいなと考えました。なので先行投資でバンバン作ったんです。勉強会やハッカソンイベントを、盛り上がるようにいろんな工夫を仕掛けてお金をかけてやりました。
エンジニア同士がコミュニケーションを取る場所がオンライン上になかったので、そういうプラットフォームも作りました。「Viblo」というプラットフォームなんですが、エンジニア同士の技術情報のナレッジをシェアしたり、質問して回答したり、セミナーの様子を動画でアップロードしたりできる、日本で言うと「Qiita」に近いようなものですね。
エンジニアのためのものなので、一切マネタイズはせず、広告も一切見せない。そこに登録してくれているベトナムのエンジニアは今や2万5000人います。閲覧しているユニークユーザーは20万程度いるんですけど、そういった活動を地道に続けたことが大きかったですね。
——それはすごい数ですね。
我々は教育にしっかりコミットしてるし、新しい技術が使えて、かつ情熱的な仕事が多くて、どうでもいい仕事が少ないんです。たとえば納品のためのドキュメントって一番意味がないじゃないですか。僕らの仕事にはそういうものはない。とにかくいいものを作っていれば評価されるし、お客様が喜んでくれるし、そういうカルチャーで働けるというイメージ作り、ブランド作りがはまったのかなと思います。
採用力がめちゃくちゃ強いので、リソースが足りないから仕事が受けられませんというのは我々にはありえません。逆に、いくらでも増やせるからもっと色々なことがやりたい。エンジニアを5000人にすることも、10万人にすることもできると思ってるので、そこは1つの強みかなと思います。
——エンジニアは今後どれくらいの規模まで拡大していきたいですか。
3年以内には5000人規模にはもっていきたいですね。5000人という数は半端ないと思われるかもしれませんけど、アジアではまだまだ弱小の中小企業だと思うんですよ。10万人までいったら「大きくなりましたね」って言ってほしいなと思います(笑)。
——これまで激動の半生を歩んできた小林さんですが、今後の野望はありますか。
個人的な野望みたいなものはもう概念として消えちゃってて、どちらかというとSun Asteriskで、っていう気持ちが強いですね。Sun Asteriskのビジョンを達成するところまで持っていくための基盤作りをするのが僕の代の役割だと思っています。ビジョンを達成するにはやらなきゃいけないことがたくさんあって、多分このビジョンとしている世界が訪れるのは、僕らが全力で頑張っても500年はかかると思ってます(笑)。
今はプロローグがなんとか終わって、これから第一章だと思うので、そこをちゃんと第二章につなげる基盤を作ることが自分にとっての使命だと思っています。この会社、このチームがちゃんとビジョンを達成するための環境作りをすること、それができたらいいですね。
——最初にお話していたように、やりたいことを誰もができる世の中にしたいと。
誰もが人を感動させる「Awesome!」な体験を作ることにフォーカスして、そこに夢中になれる世界にしたいですね。それってある程度の社会基盤が整っていないとできないことですし。しばらくベトナムや東南アジアに住んでいて、今は久々に日本に長くいるんですけど、最近よく思うのは病んでるなということ。
月曜日は自殺者が多いし、電車が止まりやすいから早く出社しようみたいな。もうその時点ですごい狂ってるじゃないですか。何で自殺が多いことを前提に行動しているんだろうと。(日本には)そういう闇みたいなのが渦巻いているから、まずはそれをちゃんとしないといけない。Awesomeな価値を生み出すとか言っている場合じゃない。
みんな今日のメシはどうするんだとか、明日生きていけるんだろうかとか考えている状況は良くないので、これも変えていかなきゃならない。やることは山積みですよ。でもまずは、僕らが今できること、特化していることで、社会をより良くして便利にするサービス、もしくは人が感動できるようなサービスを、パートナーの皆さんとたくさん作って、世の中を照らしていきたいと思っています。
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