子供向けの拡張現実(AR)体験に重点的に取り組んでいる技術系スタートアップが、先頃シリーズA資金調達で700万ドル(約7億6000万円)を調達した。2人の父親が創業したPlayShifuは、その技術により複数の賞を受賞している。同社の主力製品は、子供がアプリやタブレットの画面にさまざまなアイテムをARで表示できる地球儀「Shifu Orboot」で、見事なアーリーユーザーベースを獲得している。
子供向けのIT市場への参入がいかに難しいかを考えると、同社の早期の成功は大いに注目に値する。大手の玩具会社は子ども向けのIT分野に積極的に進出しており、それにより多くの有望なスタートアップが脇に追いやられている。保護者や教育者には非常に多くの選択肢があるが、教育的価値の疑わしいものも多数あるため、子供たちに技術を理解させることに対して慎重になっている。
PlayShifuによると、Shifu Orbootは米国で10万人以上の子供のユーザーベースを獲得しており、4~8歳のエンゲージメントが高いという。だが投資家らの目を引いたのは、この玩具について報告されるエンゲージメントの一貫性だ。多くの子ども向けアプリは、最初の月以降のユーザー保持率が10%以下になるが、同社の追跡によると、40%以上の子供が最初の使用から2カ月目以降もShifu Orbootを使い続けたという。
「つまり、このアプリに費やされる時間は、主に学習の幅広さと深さのおかげで、著しい利用頻度をもたらしている」と同社は述べ、「毎月のユーザー保持率は子ども向けアプリ分野における標準的な保持率の4~5倍に相当する」とした。
PlayShifuは、教育上のパートナーへのアピールの仕方もスマートだ。これまでに28州の教師らが同社の製品やアプリを試している。2019年、同社は2000校に製品を提供すると述べている。
「当社は世界中の国際市場から驚くほどの需要を得ており、その理由はひとえに当社の革新的な製品が幼児教育を市場や言語にとらわれないものにしていることだ。当社の製品は子供にも保護者にもすぐに親しみを持ってもらえる」と、PlayShifuの共同創立者で最高執行責任者(COO)のDinesh Advani氏は述べた。「当社にはいま、よりいっそう影響力の強い小売戦略を実行し、存在感を増すために自由に使えるツールがあるが、それと並行して教育テック(EdTech)分野のセグメントリーダーおよび創造的破壊者としての当社の立場を引き続き強化していく」(Advani氏)
2016年に創業したPlayShifuは、米国のサンフランシスコ・ベイエリアとインドのバンガロールにオフィスを構えている。ブロックを使うARゲーム「Shifu Plugo」も製造している同社は、技術ポートフォリオの拡張を図っている。PlayShifuはこれまでに総額850万ドル(約9億2000万円)の資金を調達している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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