スタートアップ支援とコワーキングスペース運営を全国に展開するfabbitは、国内で24拠点目となる「fabbit 神戸三宮」を7月5日にオープンした。神戸や淡路島で不動産を運営する塩屋土地がフランチャイジーとして運営。神戸市役所向いにある商業ビルの最上階ワンフロアに17室46席の個室と75のフリー席を提供し、セミナーやイベントも開催される。
fabbitは不動産仲介企業でスタートアップ投資もするAPAMANのグループ会社で、国内21拠点に3000名の会員がいる。提携先のWorkbar18カ所とfabbit Philippines BGCをあわせて海外に19拠点があり、国内では福岡や北九州などで官民共生型施設を運営した経験を持つ。
神戸三宮は兵庫県の「兵庫高度IT起業家等集積支援事業(コワーキングスペース開設支援)」と、神戸市の「神戸市イノベーション拠点立地促進事業」の助成認定を受けており、7月5日に開かれたオープニングセレモニーには、兵庫県知事の井戸敏三氏と神戸市長の久元喜造氏も出席した。
塩屋土地代表取締役社長の井植敏彰氏は、オープンイノベーションが生まれるかは儲かるコミュニティがあるかで決まるとし、「fabbitの持つ国内外ネットワークに期待する」と話す。また「スタートアップの成功には地域や地場企業による経済的支援や自治体の協力が必要」と話し、全国でも早くからスタートアップ支援に力を入れる兵庫県と神戸市と連携していくとしている。
fabbit代表取締役社長の田中保成氏は、fabbitではスタートアップに加えて中小企業の第2創業支援もしており、場所とソフトの両方を提供していると説明。毎月全国の拠点で同時開催するfabbitカンファレンスをはじめ、様々なネットワーキングイベントを実施し、海外との連携を支援するグローバル拠点を全国3カ所に設けていることなどを紹介した。
兵庫県の井戸知事は、起業プラザひょうごの運営など県の起業支援策を紹介し、今後は尼崎や姫路にも拡大すると説明。「行政と民間が積極的に協力し、空路、陸路、海路で国内交通の要にある兵庫の強みをもっと生かしていきたい」とコメントした。
久元神戸市長は、シリコンバレーの500スタートアップとのVCプログラム「500 KOBE ACCELERATOR」が4年目を迎え、2018年は過去最多の237社から応募があり、半数は海外からであることを紹介。「海外に直接つながるビジネス拠点として神戸が世界から注目を集められるよう、長い目で見ながらスタートアップの育成支援を続けたい」と話す。
セレモニーの後半では、自治体スタートアップコミュニティのサポーターやエンジェル投資家、VC、神戸で起業するスタートアップの代表らが登壇し、神戸をビジネス拠点にする理由や今後の期待などについて語った。
IoTフロントエンドプラットフォーム「Palette IoT」で注目を集めるMomo代表取締役の大津真人氏は、スタートアップ支援に手厚い点が神戸を拠点に選んだ理由とし、「IoTのインフラ検証でも行政の支援が受けられ、能力のある人材も採用できる」と話す。現在も神戸の地下街で空調費を4割削減する実証実験を行っており、様々なスマートインフラ実験をすることが紹介された。
500スタートアップと神戸市のプログラムを支援しているウィズグループ代表取締役の奥田浩美氏は、「神戸の魅力はインフラや重厚長大との距離が近く、東京より住みやすい」とコメント。また、「医療産業都市神戸のブランドは広く知られており、今後は社会課題として注目されるヘルスケア分野でも様々なビジネスが成長することを期待している」と話す。
医療マッチングサービスKURASERUを創業した川原大樹氏は、「同じスタートアップが集まって様々なアドバイスが受けられる場は大事」とコメント。エンジェル投資家でもあるボードウォーク・キャピタルCEOの那珂通雅氏も、「神戸は国内外につながる拠点であり、人同士のつながりが拡がる場として多くの人にfabbitを活用してほしい」と述べた。
神戸の三ノ宮周辺はこの数年で大小多くのコワーキングスペースが設立され、11月にはWeWorkも進出する。今後も継続が予定されている自治体のスタートアップ支援策と連携しながら、各拠点がそれぞれどのような動きで神戸のスタートアップを支援するのか、これからも引き続き注目したいところだ。
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