NTTドコモは7月26日、2019年度第1四半期の決算を発表した。営業収益は前年同期比1.5%減の1兆1593億円、営業利益は前年同期比10.1%減の2787億円と、2014年度以来の減収減益となった。
その主因は携帯電話事業で、行政の影響を強く受ける形で、通信料の引き下げを中心とした顧客還元の強化を推し進めたため。同社では6月より提供を開始した新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」以前にも、「docomo with」や「シンプルプラン」などの低価格プランを推し進めてきたが、その影響が大きく出ていると、同社の代表取締役社長である吉澤和弘氏は話す。
実際、営業利益の増減要因を見ると、モバイル通信サービス収入が186億円の減益となっており、利益を大きく押し下げる要因となっている。一方で、「ドコモ光」を主体とした光通信サービスの収入は「ここにきて『フレッツ光』からの転用ではなく、新規契約が増えている」(吉澤氏)ことから堅調で、7月8日に600万契約を突破、118億円の増益となるなど、モバイル通信の減少を補っている状況だ。
もっとも、2019年度は新料金プランの影響を強く受けるため、ドコモは通期でも減収減益を予想している。そのため吉澤氏は、今四半期の業績は「順調に推移している」と話し、早期の反転に意欲を示す。
新料金プランは6月にサービスを開始したばかりであることに加え、端末購入補助の「月々サポート」が終了した人でなければ変更がしにくいこともあり、業績に影響があるのは今後になるとのこと。ちなみに、7月23日時点で新料金プランの契約数は375万。うち大容量プランの「ギガホ」が3割弱、家族契約の「みんなドコモ割」の適用率は85%に達しているとのこと。吉澤氏は「もう少し来るかと思ったが、若干低かった」と、当初予定より契約数はやや少なめだと話している。
その一方で、スマートライフ領域は営業収益が前年同期比20億円増の2209億円、営業利益が前年同期比42億円増の475億円と順調に成長。会員基盤となる「dポイントクラブ」の会員は7131万人に達しているほか、力を入れている金融・決済の分野に関しても、QRコード決済の「d払い」がアプリダウンロード数700万、d払いを含めた決済・ポイントの利用可能カ所が111万カ所に達するなど、好調に推移している。
そのd払いに関して、現在はQRコード決済事業者同士の顧客還元競争が過熱している状況だ。だが吉澤氏は「積極的に広げていかないといけないのでキャンペーンはやっていくと思うが、恒常的にやるというのは非常に大変」と、大規模還元キャンペーンを長期間にわたって常時展開していくことには否定的な考えを示す。ドコモとしてはQRコード決済だけでなく、「dカード」や「iD」なども展開していることから、「dポイント」を中心に据えたキャッシュレス化を推し進めていきたいとのことだ。
また吉澤氏は、9月20日より実施する、5Gのプレ商用サービスに関しても、その詳細を明らかにした。コンシューマー向けとしてはラグビーW杯に合わせる形で、全国8つのスタジアムで5G端末を用いた試合のマルチアングル視聴を実施するほか、東京都内のライブビューイング会場で、5Gによる高精細な試合の観戦支援サービスを実施するとのこと。
また、それに先駆ける形で、9月12日より実施される「東京ゲームショウ2019」にもオフィシャルスポンサーとしてブースを出展し、5Gを活用した多数同時対戦によるeスポーツ大会や、新しいゲーム観戦体験などを提供するとしている。その後も音楽ライブなど、さまざまなイベントでの5G活用を検討してきたいと、吉澤氏は話している。
一方、法人向けの取り組みに関しては、3月から6月まで、全国6つの会場で「5G BUSINESS CAMP」を展開。プレ商用サービスの提供に向け、映像伝送など33のビジネスソリューションなどを、商用化に向け推進していくとのことだ。ちなみにドコモが展開する、5Gを活用した新しいサービスを創出する「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」は、参加企業が2800社を超えているとのことだ。
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