ただ、2019年秋以降、ドコモを取り巻く状況には不透明感も漂っている。その要因の1つが、新料金プランの発表後に総務省が公表した「モバイル市場の競争促進に向けた制度整備(案)」。この制度案では、いわゆる“2年縛り”の中途解約時の違約金上限が1000円、通信契約に紐づかない端末の値引き額上限が2万円に制限されることが打ち出されており、電気通信事業法の改正に合わせこの案がそのまま適用された場合、ドコモは変更したばかりの新料金プランを早々に見直す必要にも迫られる。
吉澤氏はそうした総務省案の影響について「まだ見極めきれていない」と回答。現時点では今後の業績に対する影響が読み切れていない様子を示す。「料金でいえば(2019年10月に新規参入予定の)楽天モバイルの動きがどうなるか、はっきりしていない」(吉澤氏)など不確定要素が多いことから、さまざまなシナリオを想定した上で、10月に施行が予定されている電気通信事業法の改正に備えているとのことだ。
また先の制度案では、長期利用者に対する割引も、契約を長期間縛る要因になるとして規制する方針が示されている。この点について吉澤氏は、「我々の料金やネットワークを信頼して使ってもらっている、感謝の印としてポイント進呈などをしており、それが補助には何ら当たらないと考えている」と回答。パブリックコメントでも問題提起をしたことを明らかにした。
そしてもう1つの要因は、新規参入予定の楽天モバイルの存在だ。楽天モバイルは現在、ドコモのネットワークを借りてMVNOとして展開しているが、吉澤氏は「MNO(携帯電話事業者)として展開するということは、自社の周波数でネットワークを構築し、顧客を収容するのが本来の姿と感じている」と、MNOとMVNOの両立によるサービス展開を改めて否定した。
一方で、「MVNOからすぐMNOに移行できるわけではない」とも回答。具体的な協議をしているわけではないとしながらも、ある程度の期間を区切って移行を求めていきたい考えを示した。
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