人々が「aibo」(アイボ)に愛着を抱くことはすでに明らかになっている。今回、われわれが知りたいのは、このソニーの犬型ロボットについて、本物の犬がどう感じるのか、ということだ。その答えを見つけるため、われわれは準認定応用動物行動学者のEllen Mahurin氏が拠点を置くテネシー州ナッシュビルに向かった。Mahurin氏は動物のぬいぐるみを使って、攻撃性や恐怖心といった行動上の問題を抱える犬をしつけたりしている。
テクノロジーが犬に及ぼす影響については、相反する研究結果がある。2005年のレポートによると、犬は特定の音に敏感で、その音は健康に悪影響を及ぼす可能性があるという。人間には知覚できないLED照明のちらつきも問題を引き起こす可能性がある。
何となく犬に似ている音やOLEDの目が犬に害を及ぼす可能性があるとする、aiboに的を絞った研究結果は見つからなかったが、ソニーの非公式の実験結果では、それと真逆のことを主張している。実験結果によると、犬は自らの成長に役立つ可能性のあるaiboロボットと絆を築くという。
今回、Mahurin氏と筆者は、犬の保育園Nashville Tail BlazersのオーナーであるDevin Komline氏を訪ね、自分の目で確認してみることにした。Komline氏の顧客のうち6人が、この日の午後、われわれに飼い犬を貸してくれることになった。その犬たちをaiboと対面させ、そばにいるMahurin氏が専門家の立場から解説する。
Mahurin氏は、特にaiboが動き回ったり、音を発したりできるということから、さまざまな年齢や品種、性格の犬が同ロボットについてどのように感じるのかということに興味があった。動き回ることと、音を発することは、Mahurin氏が今まで自分の仕事で試したことがない2つの可変要素だ。
「犬たちは最初はaiboを少し怖がると思うが、私は犬同士の特定の挨拶や、安心感を見せる何らかの態度、何らかの犬の行動に注目している。犬がどういう行動を取るのかに興味がある」(Mahurin氏)
すべてがうまくいけば、Mahurin氏は犬の行動学者として、仕事にaiboを使えるようになるかもしれない。
われわれはまだ建設中の空っぽの建物に集合した。ここには、Komline氏の新しい犬の保育園が開設される予定だ。ここで、Komline氏の顧客の犬を3頭ずつのグループに分けてaiboと対面させる。
だが、まずはこの場所に慣れてもらうため、Mahurin氏はaiboがいない状態で犬たちに歩き回らせた。それから間もなく、カオスが始まった。
最初に登場するのは、コッカースパニエルとプードル、シュナウザーの雑種である3歳半のEssieだ。Essieは静止したaiboに近づいて、お尻の匂いを嗅いだが、すぐに後ろに下がった。「彼女は用心深い。aiboが動くとは思っていなかったのではないか」とMahurin氏は説明する。同氏によると、Essieはaiboが何なのかよく分かっていないが、「過剰に」怖がってはいないという。
ボクサーの雑種である生後5カ月のBronxは、勢いよく部屋に入ってきて、吠えながらaiboに向かって駆け寄った。Mahurin氏はロボット掃除機に出くわした犬が同様の反応を示すのを見たことがある、と述べたが、筆者も自分の犬が同じ反応を示すのを実際に見たことがある。
次はMushuだ。Mushuは生後8カ月のオーストラリアンシェパードで、聴覚に障害がある。そのため、aiboの音には悩まされないだろう。Mushuはaiboに向かって直進し、匂いを嗅いだが、aiboが動き出すとすぐに警戒心を抱いた。その後、aiboに近づくことはなかった。
Mahurin氏によると、これら3つの反応はすべて標準的なものであり、犬がaiboのようなロボットに初めて遭遇したときの反応として、ほぼ予想通りのものだったという。それぞれの犬が好奇心と不安の両方を示した。犬たちはaiboをどう解釈していいのか分からなかった。
Mahurin氏は、「犬たちがaiboの動きや音に慣れて、それを無視できるようになり、何らかの交流を図り始めるまでには、一定の時間が必要なのだろう」と説明する。
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