Googleが、英国の帝国戦争博物館(IWM)、公共団体Historic Englandと新たに連携し、イスラム過激派組織ISISの手によって失われた歴史的な彫像の複製を展示する。
Googleは米国時間7月2日、「Lion of Mosul」(モスルのライオン)像を3Dプリントしたレプリカがパートナーシップの始まりになると述べた。IWMはパートナーシップの一環として、「Culture Under Attack」(攻撃を受けた文化)と題した企画展の中の展示「What Remains」(残されたもの)のためにこの像を借り受ける。
Lion of Mosulの像はかつて、イラクの都市ニムルドにあるイシュタルの神殿の入口に建っていた。紀元前860年頃のものと推定されるこの像は、イラクのモスル博物館でISISの犠牲になった多くの歴史的遺産の1つだ。
この巨大なアッシリアの守護獣は2015年に破壊されたが、3Dプリンティングを利用して再現された。クラウドソースで収集された彫像の写真が利用され、再現が実現した。
モニュメントや博物館、美術品の写真をクラウドソーシングによって集めることで記憶を残し、文化遺産の消失を防ぐことに尽力している団体Rekreiは、ライオン像をプリントするのに必要な設計図をGoogleに提供し、この像をデジタルで再現することに成功した。
3Dプリントで再現されたこのライオン像はIWMで2019年7月5日~2020年1月5日まで展示されている。Google Arts & Cultureのオンラインプラットフォームでも見ることができる。
Google Arts & Cultureのプリザベーション責任者であるChance Coughenour氏は、「近年、非常に多くのユニークな芸術品や遺跡が破壊されていることは痛ましいが、Culture Under AttackおよびWhat Remainsでは、文化のデジタル保存と、こうした素晴らしい話を魅力ある新たな方法で伝えるという両方の視点から、テクノロジーが持つ可能性に光を当てる」と述べた。
近年、3Dプリンティングの利用はテクノロジーの世界だけでなく、歴史的遺産の保存からファッションまで、あらゆる分野でその革新性が証明されている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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