LIFULLは7月3日、地方型シェアサテライトオフィスと宿泊施設を持つ共同運営型コミュニティ「LivingAnywhere Commons(LAC)」の運営を開始すると発表した。福島県耶麻郡磐梯町と静岡県下田市に専用の施設をオープンするとともに、コミュニティに参加するメンバーやスタートアップ企業、遊休不動産を同施設として活用したい地方の企業・自治体の募集を開始、「皆さんと一緒に、新しいバージョンアップした社会を作っていきたい」(LIFULL 代表取締役社長の井上高志氏)としている。
LACは、Mistletoe ファウンダーの孫泰蔵氏が代表理事、井上氏が理事を務める一般社団法人LivingAnywhereが提唱する、自宅やオフィスなどの場所やライフライン、仕事などの制約に縛られないライフスタイルの「LivingAnywhere」を実践することを目的としたコミュニティ。コミュニティメンバーになることで、今後Living Anywhere Commonsの拠点となる複数の地方型シェアサテライトオフィスを「共有して所有」し、仲間たちと共生しながら様々な制約から解放されつつ、技術やアイデアを共創していく場に参加できるとしている。
「キーワードは、地方型であること、シェア型のサテライトオフィスであること、泊まることもできるということ。サブスクリプションモデルなので、メンバーは全拠点を常時利用可能」(井上氏)。
各拠点には、Wi-Fiや電源などを完備したワークスペースと、キッチン、シャワー、宿泊ルームなど長期滞在を可能にしたレジデンススペースが用意されている。コミュニティメンバーは、水道・光熱・通信費を含めて月額2万5千円で拠点を使用でき、宿泊し放題となる。個人会員は1IDから、法人会員は2IDから登録可能で、法人会員は登録した企業に所属する誰もが契約ID数の範囲内で利用できる。例えば、「社内のエンジニア同士が集まって開発合宿をしたり、営業チームが戦略立案会議を開いたりすることもできる」(井上氏)。
コミュニティには、大手企業、スタートアップ企業、フリーランスが集まる。これに加えて、各拠点のコミュニティマネジャーにその地域に精通し地域とのつながりのある人材を採用することで、会員は地域との交流も行いやすくなるため、さまざまな形での共創が期待できる。スタートアップ企業や研究機関に積極的に声をかけ、「スタートアップテクノロジーの実験場としても機能する」(井上氏)ことも想定している。
開設した施設の収容人数は、磐梯町が35人、伊豆下田は80人。今後も随時拠点を開設する計画で、2023年までに100拠点を目指す。拠点は、廃校や企業の保養所で現在稼働していない施設などの遊休施設を有効活用していく。施設に宿泊施設が確保できない場合、周囲の空き家を紹介することで対応するとしている。
また、同日開催された説明会において、来場したLACへの参加企業および会員団体が、参画の理由、同事業への期待についてコメントした。内容は次の通り。
「磐梯町は3500人の小さな町だが、個人的には行政と民間がいかに連携するかが大事と考えていて、子供たちにもっと刺激を与えたいという思いがある。LAC拠点に来られた方が町民や若い人たちと連携して新しいものを生み出していけないかと考えている」。
「下田は全国の自治体と同様、人口減という課題を抱えている。他方で現在はつながりが広がる時代になっていて、単純に生まれ故郷ということだけでなく自分のエリアというものが広がり、働く、住む、観光、休暇、それぞれ自由になってきている。LACは単純に移住ということでなく、人の移動をシームレスに行っていけるのではないかと期待している」。
「ワークスタイルの変革はライフスタイルの変革の一部。より自分らしく働いていくためには、ライフスタイルの変化も必要ではないか。LACへ参画することで、自分らしさを追求できる人を増やせるのではと考えている。一歩踏み出せないと思っている人たちに、誰でもできるということを伝えていきたい」。
「社員の働き方改革でシェアハウスや在宅勤務制度などの新しい制度を取り入れる中、『ワーク』と『バケーション』を組み合わせた『ワーケーション』に注目した。制度として導入するだけでなく、刺激を与えられるものとするときにLACに出会った。ワーケーションの際に地域の人たちと交流することで、新しい刺激が得られるのではないか」。
「誰にでもどこででも水を提供できるという事業を行っているなかで、LACのコンセプトと共鳴して参加した。シャワーの水循環システムなどのテクノロジーの実験、社会実装を進めていく場として活用していきたい」。
「自分のような、『地域を縛られずに東京で働きながら地域ともかかわりたい』という思いを実現できる活動と感じて参加した。テレワークが普及してもなかなか思い切れない人が多い中、個人の選択肢を広げる活動として共に活動していきたい」。
「体験型イベントやフェスを全国で開催する中で、コンテンツは東京から持っていっても、作りあげる作業は地方の人と一緒に行うことが大事と感じている。拠点において、夜通し話してコンテンツを作るようなことをしたい。体験型イベントを企画して日本全国をわくわくさせることに挑戦したい」。
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