200m離れた人の心拍で生体認証する技術、米国防総省が開発中

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2019年07月01日 10時13分

 米国防総省が、心拍で個人を検知、認識できる新しい装置を開発しているという。

 指紋や網膜と同様に、心臓にも個人ごとに固有の特徴となる心拍があり、理論的にはそれを利用して個人を識別することができる。

 指紋や網膜に基づく生体認証技術が、スマートフォンへのアクセスや国境での出入国許可などのさまざまな用途で認証手段として利用されているが、この新たな形の生体認証は、離れた場所から個人を識別できる可能性がある。

 MIT Technology Reviewが報じているように、米国防総省は米特殊部隊の要請を受け、この技術を開発したという。

 この装置「Jetson」は、200mの範囲で個人の識別が可能だ。赤外線レーザーで個人に固有の心拍の特徴を検出する。

 Jetsonは一定範囲を走査し、「レーザー振動測定」として知られる技術を利用して、心拍による皮膚表面の変化を検出することができる。

 Jetsonは衣服を通しても機能するが、検知対象の人物が冬服のような厚着をしていないという条件がつく。加えて、1人の人物に狙いを定めてから結果を記録するまで約30秒かかる。そのため、同技術が機能するには、対象者が静止している必要がある。

 ただし、近年の生体認証技術の急速な発達を考えると、この点については将来的に改善される可能性が高い。

 いくつかの課題はあるものの、Jetsonの開発者は、最適な条件下で95%超の精度を達成できるとしている。

 固有の心拍パターンに基づく生体認証は、今のところ単独では不十分かもしれないが、軍事利用(たとえば、心拍パターンを収集済みの対象者を探して特定するなど)を超えたJetsonの活用には膨大な可能性がある。

 Jetsonは、医療専門家や患者の診断に寄与するかもしれない。また、虹彩や指紋のスキャンとの併用で強化されるなら、ID認証手段として実用化される可能性もある。

 米軍はこの数カ月間、他の新しい技術を探求することにも関心を示してきた。近々行われる実地試験では、GPSの信号が妨害されるのを防ぐ技術をテストする。GPS信号が妨害されないことは、野外における軍事行動や監視のためジオマッピングに頼ることが多い現代の戦争にとって、主要な必要条件だ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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