日鉄興和不動産が、単身世帯のキッチンを「困りごと」の観点から変えようとしている。6月26日、オレンジページと共に開発したオリジナルキッチンを発表。12月に東京都北区に竣工予定の「リビオレゾン王子飛鳥山」に導入する予定だ。
今回のプロジェクトは、日鉄興和不動産が運営する、シングルライフのための暮らし・住まいの研究所「+ONE LIFE LAB」(プラスワンライフラボ)と、生活情報誌「オレンジページ」を発行するオレンジページが手を組んで実施したもの。
「もっと料理上手になるキッチン」をテーマに、単身者向け住宅のキッチンでも効率的に料理ができる設備・仕様を研究する「Plus Kitchen PROJECT」を立ち上げ、2018年3月から活動してきたという。
日鉄興和不動産が手がける、単身者向けマンション「リビオレゾン」の居住者に調査したほか、オレンジページが持つオンラインコミュニティ「オレンジページサロンWEB」内で、写真付き投稿による調査を実施。合計162件の投稿、269件のコメントを集めた。
単身者向けのマンションではファミリータイプに比べ、料理をする機会が少ないとの思いから、コンパクトタイプのキッチンを導入していたという。しかし、今回の調査を通して、平日でも70%、休日には80%の人が料理をすることがわかった。
現在のキッチンについては、狭い、収納スペースが足りない、コンロ周りが汚れることなどに対して、不満を持っている人多く、さらに3口あるコンロは、実は2口しか使っていないという現状が浮き彫りになった。写真付き投稿による調査のほか、間口150cmのキッチンとコンロ、シンクなど実物大パーツを組合わせてのワークショップなども実施したという。
プロジェクトを通じて開発したキッチンは、間口150cmに、縦並びのコンロ2口、ゴミや汚れを集めやすくする「手前勾配」を採用した「流レールシンク」などを配置。掃除しやすいホーローパネルやレシピホルダー付き吊戸棚などを備える。2口コンロには、グリルがないグリルレスタイプを採用したことが特徴だ。
「今回のキッチンを実現できたのは、グリルレスコンロの採用が大きい。今までは、グリルがついているのが常識という固定概念があったが、調査していくと、必ずしも必要ではないことがわかった。グリル部分のスペースを収納に置き換えるなど、スペースを確保でき、今回要となったのはコンロ」と、日鉄興和不動産 住宅事業本部開発第一部の木下裕之氏は振り返る。
収納スペースを確保するために設置した吊戸棚は、狭い空間に壁ができると空間的によくないため、つけないことが一般的だが、今回はグリルレスにすることで空間を確保でき、導入に踏み切れたという。
もう一つアンケートで浮かび上がってきたのは「掃除が苦手」という声。オレンジページ エディトリアルコンテンツ部ムック担当の井上留美子氏は「野菜くずやゴミが全体に広がり、シンクの掃除が大変というアンケート結果が出てきた。流レールシンクは、ゴミが集めやすくなる手前勾配で、汚れもつきづらいという画期的なシンク。ショールームで見たときは自宅にも欲しいと思った」と流レールシンクを採用した経緯を話す。
オレンジページ くらしデザイン部の川名敦子氏は「今回実現はしていないが、自動洗浄機能付きの換気扇や、生ゴミを圧縮してフリーズドライにする処理機なども追加案としてある。ハイスペックな機器は一人暮らしでも採用されていると生活が豊かになる」と今後の展開を話した。
今後は、リビオレゾン王子飛鳥山以外の物件にも、オリジナルキッチンを導入していく計画。ただし、グリル付きを望む声もあるため、通常のキッチンとオリジナルキッチンの2つから選べる環境を整えていくという。
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