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Facebook主導の仮想通貨「Libra」とは何か--“統一通貨”が実現する未来と課題 - (page 2)

田上智裕(techtec代表取締役)2019年06月24日 13時30分
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暗号資産として:Libra vs Bitcoin

 まず、仮想通貨の王者として君臨するBitcoinとの比較を見ていく。誤解されがちではあるが、Bitcoinは決済や送金を想定して開発された仮想通貨ではない。どちらかというと金(ゴールド)に近く、デジタル上の価値保存の役割を果たすのがビットコインである。したがって、通貨を志向するLibraとは役割が全く異なり、直接的な対立は考えにくいといえる。

 仕組みとしても大きく異なる。Bitcoinは、パブリックブロックチェーンに分類され、不特定多数のユーザーが資産移動などブロックに記録するトランザクションの検証作業に参加している。その数は、現時点で1万を超えており、世界最大のノード(ネットワークに参加している端末)を誇る。また、検証作業には膨大な演算処理を必要とする「Proof of Work(PoW)」を採用しており、ノードの数が多いほど、一部のユーザーによるプロセッサパワーの偏りが解消されて安全性は高まるが、それに比例して必要な電力は増大する。

 Libraは、コンセンサスアルゴリズムに「Proof of Stake(PoS)」を採用したコンソーシアム型ブロックチェーンであり、ノードはLibra協会に参画するメンバー各社が所有し、トランザクションを処理する。Bitcoinのトランザクション処理は、毎秒7回と少ないが、Libraでは毎秒1000トランザクションを処理できるのも大きな違いだ。

グローバル通貨として:Libra vs Tether

 現時点で、通貨として成立する仮想通貨はステーブルコイン以外に存在しないといえるだろう。ここでは、既存ステーブルコインの代表格であるTether(テザー)との比較をみていく。

 Tetherは、米ドルを担保として価格を安定させており、現時点では最も時価総額の高いステーブルコインとなっている。このTetherとの比較だが、Libra協会の規模と実需の期待値からして、Libraが大きくリードしていると考えられる。また、Tetherには現状の時価総額を担保するに足りるだけの米ドルを用意できていない事実が存在し、信頼性という観点からもLibraに遅れを取るのではないだろうか。

スマートコントラクトプラットフォームとして:Libra vs EOS

 Libraは通貨に注目が集まりがちだが、Libraブロックチェーンとしても活用が期待される。この場合、Ethereum(イーサリアム)やEOS(イオス)、NEM(ネム)といったスマートコントラクトプラットフォームとの競合が予想されるが、最も類似性が強いのがEOSである。

 Libraの特徴である、「Libra協会」「BFT(Byzantine Fault Tolerance)」「高速処理可能なスマートコントラクト」の3つは、「DPoS」「BFT」「秒間数百万の処理性能」を強みとして謳っているEOSの特徴といずれも一致する。

 DPoSとは、PoWやPoSなどと同じコンセンサスアルゴリズムの一種で、EOSの場合は21のノードがバリデータと呼ばれる検証者としての役割を担っている。要するに、21のノードによってEOS内での合意が形成されるのである。これは、Libra協会の目指す100の企業・機関による合意形成と類似しており、ノード数の多さでより分散性に長けるため、ここでもLibraが大きくリードしているといえるだろう。

決済プラットフォームとして:Libra vs Ripple

 グローバルな通貨を志向するのであれば、当然決済インフラとしての期待も高まるであろう。この場合、銀行を中心に世界中で決済インフラの網を広げているRippleと比較対象になりそうだ。

 現時点でLibra協会に参画を表明している顔ぶれを見てみると、実際にLibraが利用できるようになると同時に、すぐさま実生活に浸透することが予想される。一方のRippleは、銀行を中心に導入が進んでいるため、実生活にすぐに浸透することはあまりないと考えられる。なぜなら、一般消費者が銀行口座を切り替える頻度は非常に少ないからだ。

 ただし、Rippleは既に世界中の銀行への導入が決まっているため、金融機関同士の国際送金の分野では、引き続きRippleが市民権を得ることになるだろう。

Libraの実現する未来とは

 次に、Libraの構想が実現すると、どのような未来が待っているのかを見てみよう。

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