欧州刑事警察機構(Europol)は、新たな問題となっている仮想通貨関連の犯罪に特化したゲームを開発し、捜査員の訓練に使用する。
Europolは現地時間6月12~14日に同機構の本部で開催された第6回仮想通貨会議で、現在開発中の「仮想通貨を追跡する真面目なゲーム」を10月にEuropolと国際刑事警察機構(Interpol)が合同開催するサイバー犯罪会議で発表することを明らかにした。このゲームは「法執行機関として初となる、ゲーミフィケーションを利用した仮想通貨とその犯罪捜査について訓練する機会」だという。
ゲームをプレイする訓練生らは、違法な仮想通貨の取引の追跡と検出を試みることになる。
EuropolとCentre of Excellence in Terrorism, Resilience, Intelligence and Organised Crime Research(テロ、回復力、情報、組織犯罪研究センター:CENTRIC)が開発したこのゲームは、捜査員が仮想通貨の犯罪捜査に関連した実際の問題に取り組むバーチャルな体験ができるよう作られている。
サイバー犯罪を取り締まる次世代の法執行官の訓練にゲームを使用することは確かに面白そうだが、仮想通貨の洗浄やマネーロンダリング、フィッシング、窃盗、業界内に潜むさまざまな詐欺に取り組む実際のシナリオや問題に適用された際に、極めて有益であることも証明される可能性がある。
非合法的手段を通じて取得された仮想通貨の追跡は容易ではない。トランザクションはブロックチェーン経由で記録されるが、通貨が複数の異なるウォレットに分散されると汚れた通貨がきれいな通貨に「混合」されるか、または異なる形式の仮想通貨に完全に換金され、その後再度移動される。ゆえに犯罪活動の流れを追うのが困難になる可能性がある。
だが法執行機関は仮想通貨関連の犯罪を深刻に受け止めている。その一例が、Europolとオランダ財務省の経済情報査察部(FIOD)が5月に仮想通貨ミキシングサービスの「Bestmixer.io」を2億ドル(約220億円)以上の汚れた仮想通貨をロンダリングした容疑で強制捜査した件だ。
この捜査で、仮想通貨「洗浄」サービスに使用されていた6つのサーバーが押収された。Bestmixer.ioがサービスを開始したのはわずか1年ほど前で、ビットコイン(BTC)やビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)をミキシングする機会を顧客に提供していた。
さらに、ダークウェブのマーケットプレイス「Wall Street Market」の摘発と閉鎖も仮想通貨関連の犯罪で法執行機関に教訓を与えることとなった。同サイトの運営者は5月、ユーザーやベンダーから1420万ドル(約15億円)以上の仮想通貨を盗んで失踪する出口詐欺を行い、逮捕された。
法執行機関の捜査員の訓練にゲームを使用することは犯罪への興味深い取り組みだが、仮想通貨の捜査に取り組むために新たな発想を試した機関はEuropolが初めてではない。
Interpolの捜査組織でシンガポールを拠点とするGlobal Complex for Innovation(IGCI)は2015年、標準的な仮想通貨の捜査に使用できる犯罪科学ツールの開発と試用のために独自の仮想通貨を作成した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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