初代Androidデバイス開発秘話--HTC創業者が語るルービン氏との出会い

Roger Cheng (CNET News) 翻訳校正: 編集部2018年09月30日 07時30分

 「Android」を搭載する最初のスマートフォンとなった「T-Mobile G1」は、象徴的なデバイスだ。だが、スライド式のフルQWERTYキーボードと幅の広い“あご”を備えたこのデバイスは、魅力的ではない。

T-Mobile G1
初のAndroidスマホ、T-Mobile G1。これとはまったく違う形状になっていた可能性もあった
提供:Sarah Tew/CNET

 10年前のデビュー当初、この初代Androidスマートフォンは、かさばって無骨な製品だとみなされた。批評家たちは滑らかに動くAndroid OSは評価したが、ハードウェアの方は同時期にデビューした初代iPhoneのようには普遍的な賞賛を得られなかった。

 当時の米CNETのレビューでは「G1は洗練されたデバイスとは言い難く、セクシーだとも言えない。代わりに浮かぶ形容詞は“興味深い”や“奇妙な”だ」と評された。

 だが、時はG1に優しい。「iPhone XS Max」と「Galaxy Note9」の横に並べて置いてみると、G1はかわいらしい。変に見えていた幅広いあごも、最近のプラスティックやメタルの板の洪水の中では独特だ。

 だが、この外観は当初計画されていたG1の姿ではない。HTCとGoogleが最初のAndroidスマートフォンの共同開発を始めた段階では、両社はBlackBerryにかなりよく似た、小型で角張り、前面の上半分にディスプレイを、下半分に物理キーボードを備えるデザインで進めていた。

 これは、HTCの共同創業者で元最高経営責任者(CEO)のPeter Chou氏から聞いたエピソードの1つだ。Chou氏は、当時GoogleでAndroidを担当していた幹部のAndy Rubin氏とともにG1開発を率いていた。私はG1誕生10周年に当たり、Chou氏にこのデバイスの開発についてインタビューした(Googleはインタビューの申し出を拒否した)。

 あなたが知らないであろうG1の幾つかのエピソードを紹介しよう。

G1はBlackBerryのようになるはずだった

 G1の最初のプロトタイプは、T-Mobileの「Sidekick」のようなスライド式キーボードを備えてはいなかったとChou氏は語った。最初のデザインは、もっと大型の、「BlackBerry 5000」シリーズのような外観を求められた。

 Rubin氏の広報担当者は、2種類のデバイスを並行して開発していたことを認めた。最初の、「Sooner」というコードネームのデバイスは、HTCの「Excalibur」(T-Mobile Dashとして知られる、2006年発売のWindows Mobile搭載デバイス)の筐体を使ったという。


T-Mobileの「Dash」
提供:CNET

 Chou氏はこのプロトタイプのことをDashだと語ったのだ。

 Soonerは、必要であれば「すぐに(sooner)」出荷できるようにという考えで社内開発で使われた。このデバイスのディスプレイはタッチ対応ではなかった。

 当時、BlackBerryシリーズは企業の間で人気があったので、この動きは論理的だ。

 2台目のデバイスは「Dream」というコードネームだった。こちらは新しいデザインとタッチスクリーンを搭載するため、開発により時間がかかりそうだった。こうした意欲的な選択をみると、コードネームの由来は自ずと分かるだろう。

 Androidチームは明らかに、野心的な方のG1のデザインを採用したということになる。

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