渋谷区のIT各社、小中学生向けプログラミング教育で提携--次世代を担う人材を輩出

 東京急行電鉄(東急電鉄)、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エー(DeNA)、GMOインターネット、ミクシィ、渋谷区教育委員会は6月17日、「プログラミング教育事業に関する協定」を締結したと発表した。

左からサイバーエージェント 代表取締役社長 藤田晋氏、ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 南場智子氏、東京急行電鉄 取締役社長 高橋和夫氏、渋谷区教育委員会 教育長 豊岡弘敏氏、GMOインターネット代表取締役会長兼社長・グループ代表 熊谷正寿氏、ミクシィ 代表取締役社長執行役員 木村弘毅氏
左からサイバーエージェント 代表取締役社長 藤田晋氏、ディー・エヌ・エー 代表取締役会長 南場智子氏、東京急行電鉄 取締役社長 高橋和夫氏、渋谷区教育委員会 教育長 豊岡弘敏氏、GMOインターネット代表取締役会長兼社長・グループ代表 熊谷正寿氏、ミクシィ 代表取締役社長執行役員 木村弘毅氏

 次の世代で必要になる資質や能力を持つ人材を渋谷から輩出することを目指し、その土台作りとして「Kids VALLEY みらいの学びプロジェクト」を始める。具体的には、渋谷区立の小中学校でのプログラミング教育に向けた教材の提供や、講師の派遣、プログラミング教育を担当する教員向けの研修などに取り組む。

将来の日本を支える人材育成に取り組む

 今回の提携は東急電鉄が各社に声をかけたことがきっかけとなったという。東急電鉄 取締役社長の高橋和夫氏は「東急電鉄の経営計画を作る上で、『人づくり』が大きな課題の1つとなっている。働き方を見直すなど社内で取り組む問題もあるが、地域の人々に対しても人づくりで貢献していきたいと考えた」と、各社に声をかけた動機について説明した。そして、渋谷に日本を代表するIT企業が集まっていること、東急電鉄が再開発などで渋谷の街を新たに作り直そうとしていることも大きな理由になったという。

東急電鉄 取締役社長の高橋和夫氏
東急電鉄 取締役社長の高橋和夫氏

 教育現場で使用するカリキュラムの作成は、渋谷区教育委員会と連携しながら、IT企業4社が分担して開発する。小学校低学年向けはDeNA、小学校高学年向けはサイバーエージェントとGMOインターネット、中学校向けはミクシィが担当する。すでに4社とも、独自でプログラミング教育に取り組んでおり、そこで得た経験や、教材などをカリキュラム作成に活用する。

各社のプログラミング教育の経験や教材などを活用

 サイバーエージェントは小学生向けプログラミング教育事業を目的として子会社のCA Tech Kidsを設立し、全国の小学校や自治体と共同でプログラミングの授業や研修などを実施している。さらに、小学生向けプログラミングコンテスト「Tech Kids Grand Prix」を開催している。

 DeNAは、小学生向けのプログラミング教育アプリ「プログラミングゼミ」を開発している。これは、Scratchのようにブロックを組み合わせていくことでプログラムを作成できる教育ツールであり、Scratchよりも簡単に扱えるように独自の工夫を加えたものだ。すでに渋谷区立の小学校が配備しているすべてのタブレットにインストール済みで、教育現場での活用も進んでいる。

ディー・エヌ・エーが開発したプログラミング教育アプリ「プログラミングゼミ」
ディー・エヌ・エーが開発したプログラミング教育アプリ「プログラミングゼミ」

 DeNA 代表取締役会長の南場智子氏は「現在の教育は、ただ1つの正解を言い当てる、間違えない達人を量産するものであり、日本の昭和後期の加工貿易で国力を伸ばしていた時期には適していた教育だが、今の時代に合うものとは言いがたい。しかし、今の教育はその時代の教育を引きずっている」と指摘した。

 その上で「プログラミングを教えることで、答えは1つではない、生徒の数だけあって良いということや、プログラムを作り出すには情熱が欠かせないということ、考え方が異なる他者と連携して新しいものを作り出せるということなど、これまでの教育に欠けていたことを教えることができる」と、今回のプロジェクトがプログラミングの技能に限らず、これからの社会で必要になる能力も育む意味も持っていると語った。

ディー・エヌ・エー 代表取締役会長の南場智子氏
ディー・エヌ・エー 代表取締役会長の南場智子氏

 GMOインターネットは子会社であるGMOメディアが運営しているプログラミング教育情報サイト「コエテコ」を通して、このプロジェクトでの取り組みを発信していく。さらに、同社の新卒社員向け教育プログラム「GMOテクノロジーブートキャンプ」を小学校高学年向けに改訂し、インターネットドメインやサーバーなど、インターネットの利用環境を支えるインフラ領域に重点を置いたカリキュラムを開発する。

記者発表会の会場には、各社が提供する教材の展示コーナーもあった。手前にある1Uラックマウントサーバーは、インフラ領域に重点を置いたカリキュラムを開発するGMOインターネットが展示したもの
記者発表会の会場には、各社が提供する教材の展示コーナーもあった。手前にある1Uラックマウントサーバーは、インフラ領域に重点を置いたカリキュラムを開発するGMOインターネットが展示したもの

 GMOインターネット代表取締役会長兼社長・グループ代表の熊谷正寿氏は、「現在『インターネット関連企業』というと、私たちの会社のような企業を指すが、今後はすべての企業がインターネットを活用して事業を展開するようになる。そのときに主役となるのは今の子どもたちだ」と、同プロジェクトが、将来の日本企業を支える人材を輩出することを期待するコメントを残した。

 さらに、熊谷氏は「今回のプロジェクトはCSR活動とは思っていない。プログラミングができるエンジニアは現在でも不足しており、人材確保が難しくなっている。将来のエンジニアを育てようと真剣に考えて取り組む」と意気込みを見せた。

GMOインターネット代表取締役会長兼社長・グループ代表の熊谷正寿氏
GMOインターネット代表取締役会長兼社長・グループ代表の熊谷正寿氏

 ミクシィは、中高生向けに提供している企業訪問受け入れプログラム「XFLAGアカデミー」など、子どもたちが将来の職業について考えるきっかけとなる活動に取り組んでいる。これに加えて、同社の知見を生かしてプログラミングに関する啓発活動を企画し、中学生向けカリキュラムを開発する。

大学などとの連携でプロジェクトのさらなる発展を

 また、渋谷区在住の小中学生を対象に、「プログラミングサマーキャンプ2019」を開催する。このキャンプでは、4社がそれぞれ小中学生30名ずつをそれぞれのオフィスに招き、社内見学やエンジニアの仕事紹介、プログラミング体験などの企画を用意する。実施日はサイバーエージェントが8月4日、DeNAが8月5日、GMOインターネットとミクシィが8月7日。応募期間は7月1〜15日。応募者多数の場合は、各社30名を抽選で決定する。

 また、同プロジェクトでは将来、大学などの学術機関と連携し、授業カリキュラムの充実を図ることも目指しているという。例えば、学生を指導役として授業に派遣するなどの案があるとしている。

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