Airbnb Japanは6月6日、国内ビジネスの最新動向について発表した。住宅宿泊事業法(民泊新法)施行から約1年が経過するなか、自治体やパートナーとの連携を含めた民泊ビジネスモデルの普及・定着に向けた取り組みを明らかにした。
世界的に民泊が普及するなか、同社によると現在Airbnbが提供するプラットフォームで予約可能な登録宿泊施設数はグローバルで600万以上、通算でのゲスト数は5億人以上にのぼる。日本では法律が整備されてからまだ1年という状況下で、宿泊可能な施設は民泊とホテル・旅館を合わせて約7万3000室であり、2017年2月から1年間に日本国内で予約したゲスト数は、東京・大阪を中心に約580万人としている。
Airbnb 共同創業者兼CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)のネイサン・ブレチャージク氏は、「多くの自治体とパートナーシップを組み、ホストが新しい日本の法律に準拠できるようにし、業界を先導している」と同社の取り組みについて語り、日本におけるホームシェアリングの役割として「大規模イベント」「地域活性化」「空き家対策」の3点を示し、普及を促進していくとした。
ただし日本では、施設を提供するホストおよび利用者(ゲスト)と近隣住民間の軋轢、違法営業などの問題で、なかなか民泊の普及が進まないという状況にある。そこで、「日本にとって正しい形、地域ごとに正しい形で伸びることが重要」(Airbnb Japan 代表取締役の田邉泰之氏)とし、地域ごとの条例対応も含めてコンプライアンスを重視してビジネスモデルの信頼度を高めていく姿勢を示した。
その一環としてAirbnbは同日、受託宿泊事業等の適正な運営と健全な発展を目指して新宿区と連携協定を締結。主な連携内容は、「ホストの法令順守の啓発」「ホスト、ゲストへの防災情報の提供」「新宿区の地域イベントの情報提供」「ホストと地域社会との相互理解の構築」としている。
このほかに主な活動成果として、同社が主導する国内でのホームシェアリングのパートナーエコシステム「Airbnb Partners」への参画企業が117社に拡大したと発表。内訳は、物件開発を中心としたサプライパートナーが64社、ホームシェアに関するサービスを提供するサービスパートナーが49社、ゲストの集客や送客を担うデマンドパートナーが4社としており、パートナーシップによる複数のサービスを開始している。
システム面では、オンラインプラットフォームである「airbnb.jp」上でのサービスと連携する物件管理基幹システム「PMS(Property Management System)」をエアトリステイ、手間いらずと共同開発し、パートナーへの提供を開始した。今後も「Airbnbのデータ、運用ノウハウを活用して日本のお客様に最適な運用方法を提案する機能を随時提供していく」(田邉氏)としている。
このほかに地域連携の強化策として、宿泊施設が足りないエリアでイベントが行われる際、地域内での宿泊場所を確保し、滞在期間を増やすことで経済効果を高めるための手段として「イベント民泊」を推進。イベント民泊は、自治体の要請に基づき、旅館業法に基づく営業許可がなくても宿泊サービスの提供を可能にする制度であり、大規模イベントであるラグビーのワールドカップが開催される釜石市をはじめ、千葉市、熊本県などと連携して実施していく。
インバウンド施策として、海外からの利用者の4分の1を占める中国人ゲスト向けのサポートを強化する。パートナー企業を通じて旅行前から旅行中、旅行後までのサポートを中国語で提供、チャットを通じて来日中にマナーを教えたり、切符の買い方などをサポートするほか、忘れ物についても対応する。中国向けの第一弾のサービスとして、旅館の紹介を中心としたキャンペーンを年内に始める。旅館に対して事前に家族構成やアレルギー情報を提供することで、ゲストに合わせて浴衣のサイズや料理のメニューを用意できるようにするなど、ホスト側のおもてなしにもつなげられるとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス