発売4年で500ドル以下の時計を制したApple Watch--Appleニュース一気読み

 4月22日~5月5日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。

 Apple Watchは2014年9月に発表され、2015年4月に発売された。毎年新モデルが登場し続け、テクノロジー的には、デュアルコアプロセッサの搭載、画面の拡大、防水対応、心電図センサーの搭載や加速度センサーの強化、セルラー対応といったさまざまな機能が追加されてきた。しかしAppleが腕時計市場を理解し、アプローチを決めて実直に取り組んできた点は変わらないことだった。

Apple Watch Series 4
Apple Watch Series 4

 Apple Watchは38mm、42mmの有機ELスクリーンを持つ「iPhone専用の」スマートウォッチとして登場した。GoogleはAndroid Wearをスマートウォッチ向けプラットホームとして用意していたため、スマートフォンのシェア、すなわち85%を占めるAndroidで動くオープンな時計がApple Watchよりも普及すると期待されていたが、蓋を開けてみるとApple Watchの一人勝ちで市場を牽引する状態となってしまった。

 Appleのウェアラブル部門は前年同期比50%増を維持しており、その原動力はAirPodsとともにApple Watchの存在が大きい。競合に比べて、製品そのものの質が高く、ソフトウェアが確実に動作し、バンドのエコシステムの成熟によって用途や季節に応じて着せ替える楽しみもある。そして500ドル以下にはアルミニウムモデルを揃え、安すぎず高すぎずという「腕時計としての価格」も絶妙だった。

 その一方で、Apple WatchがiPhoneとAppleのブランドによって成功しているという見方も崩せない。音楽好きの人であれば、iPhoneで再生している音楽のコントロールを便利に使っているかもしれないが、実際のところは日々のアクティビティやエクササイズの計測以外には、通話や通知の受け取り、非接触のモバイル決済、そしてそもそもの時間を確かめるという用途が多いだろう。

 AppleはApple Watchを、「顧客に最も身近な製品」としばしば説明している。朝出かけるときに腕に装着するという習慣性も助け、Apple Watchの身近さが際立っている。しかし、前述の用途以上の用途に深く活用している人がどれだけいるだろうか。盤石とも言えるスマートウォッチ市場の席巻に対する課題は、既存ユーザーが買い換えてくれるかだ。それまでに、なくてはならない存在としての地位を獲得したり、買い換えたいと思わせるなんらかを見つけなければならない。

 テクノロジーとして考えれば、Apple Watch最大の課題はバッテリー持続時間だ。現在Appleは「1日」=18時間という基準を設定している。しかし他のスマートウォッチやアクティビティトラッカーでは実現している睡眠計測が、このバッテリー制約によって不可能になっている。

 また文字入力の精度やコミュニケーションについても改善の余地があるし、Siriにはもっと賢く、状況に応じた情報の提示などで活躍してもらいたいと思う場面が多い。そして、iPhoneやiPad成長の原動力となったもう一つのソフトウェア、サードパーティアプリは非常に限定的であり、Twitterなどの主要アプリまでWatchアプリから撤退する状況だ。

 WWDC 2019で登場すると目される次世代版のwatchOS 6だけでは、バッテリーの問題は解決できないだろうが、Siriやコミュニケーション、そしてアプリの問題解決にメスを入れることを期待している。

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AirPower開発中止から振り返る、アップルの大失態

 筆者もAirPowerを楽しみにしていた。iPhone、Apple Watch、AirPodsのワイヤレスデバイスを夜に同時充電するためには、AirPowerのようなシンプルなデバイスが必要だと言うことは共感していたからだ。しかしAppleは技術的な解決が困難だったとして、その開発を取りやめた。

 慎重に研究開発を行い、外さない製品を市場に送り込んできたAppleらしからぬ失敗だったように見えるが、Apple製品が常に完璧な状態で世に送り出されてきたわけではない。むしろ重要な部分の完成度が不十分なこともあった。

 最も記憶に新しかったのが、2015年モデル以降のMacBook、2016年以降のMacBook Proに搭載されていたバタフライキーボードの不具合の増加だろう。タッチパネルを持たず、キーボードがあることがユーザー体験上重要だったポータブルMacのキーボードの調子がすぐ悪くなる点は、停滞失態だったといる。

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