4月8日~4月14日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
今週はAppleに関連するCNET Japan配信のニュースは非常に少なかった。中でも、オリジナルのコラムで、Appleの3月25日のイベントに関する見方に触れられており、興味深かったのでふりかえっていこう。
筆者は今回のAppleのイベントの各種サービス発表について、「レガシィなビジネスのモバイル化を促すこと」によってデジタル転換もしくは新たに掘り起こされるユーザーを獲得しようというものだと考える。
雑誌であれば、PDFではない真のモバイルデバイス対応をApple News+で進めることで、現在雑誌を購読している人たちのデジタル化を進め、ネットで済ませている若い世代を取り込もうというアイデアだ。
ゲームでは、Appleがすでにアプリによってモバイル化を進めつつあるが、依然としてPCやコンソールで強いゲームクリエイターのモバイル化を進めることで、新たなゲームプラットホームになろうとしている。
Apple Cardは、モバイルを前提としたクレジットカードサービスを再構成することによって、これからカードを持つ世代を惹きつけようとしている。
そしてApple TVアプリとApple TV+は、米国のケーブル契約を代替する優秀なアプリを用意し、そのアプリを宣伝してくれる映像サブスクリプションサービスをアピールした、という見方だ。個人的には、ケーブルチャンネルを個別に契約することもできるデジタル時代のテレビ番組表となるApple TVアプリが主役だったように感じた。
日本でも、職場環境のデジタルトランスフォーメーションが叫ばれているが、Appleは米国の中にある依然としてアナログなメディア消費をデジタル化することで、サービス部門の成長の源泉を見出そうとしているのだ。
そう聞くと、ピンと来なかったAppleのイベントや発表内容が、よりつまらないものに聞こえるかもしれない。しかし、市場としては非常に有望だ。
例えば米国の雑誌の購読者数は約9100万人で、米国首位のThe ESPN Magazine、2位のPeople Magazineはそれぞれ1億前後のリーチを獲得している(参考URL)。当然ながら、これらの雑誌はApple News+の読み放題のラインアップに含まれている。
Apple TVで見たいケーブルテレビチャンネルを購読できる仕組みも、1億契約をやっと割り込んだばかりのケーブルテレビ契約者の乗り換え需要を狙っていることが分かる。月200ドル以上となっているケーブル契約から、半額以下にコストを削減できるいわゆる「コードカッティング」に動き、その層がApple TVアプリを活用するならば、Appleはゼロだった映像サービスから得られる手数料を手にすることになる。
Apple TV+については、映像コンテンツ制作への投資金額や、米国の中でもハリウッド、カリフォルニアの人たちが考えるあるべき世界を表現するような作品が多い点からして、AppleもグローバルにNetflixやAmazonと勝負できると考えているわけではないだろう。
それだけに、NetflixがApp Storeでの課金に続いて、AppleデバイスからApple TVやサードパーティのスマートテレビに映像をキャストできるAirPlay機能をカットしたニュースは、Appleの思惑から外れた動きと見るべきだろう。
また先週は、ディズニーのネット配信サービス「Disney+」が2019年11月から月額6.99ドルで開始されることもアナウンスされた。ディズニーはAppleとの関係も悪くないため、Disney+はAppleとNetflixの代理戦争の様相を呈するかもしれない。
新たなケーブルTV事業者を目指すアップル、後だしジャンケンは今回も通用するか?(4/9)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
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