物事の変化の速さが不思議に感じられる。3カ月前には、Appleが世界スマートフォン市場シェア首位の座をサムスンから奪う日も近いように思えたが、ふたを開けてみると、Appleは中国のメーカーである華為技術(ファーウェイ)に抜かれて3位に転落した。
これはAppleにとって何を意味するのだろうか。
以下のグラフは、過去5四半期にわたるAppleとサムスン、ファーウェイの戦いの軌跡を示している(IDCのデータに基づくグラフで、Bloombergの好意により転載)。
とはいえ、ビジネス面だけに目を向けると、市場シェアと売上高(および利益)は全く別のものなので、市場シェアを重視しすぎるのは愚かなことかもしれない。前四半期の売上高と利益を見てみると、スマートフォンの市場シェアがすべてではないことが明らかだ。
売上高と利益は市場シェアとは別の話になるが、だからと言ってAppleに心配の必要がないわけではない。
Appleの事業の鍵は市場シェアだ。市場シェアがより高く安定しているほど、顧客がより忠実であり、同社はサービスやアクセサリーをより多く販売できる。いずれも利益につながると同時に、ユーザーを同社のエコシステムにより深く結び付けることになる。
サムスンとファーウェイがより多くのスマートフォンを売れば、Appleのエコシステムの拡大がより困難になる。両社がAppleから顧客を奪うことも可能になるかもしれない。特に価格により敏感な顧客が奪われることにより、Appleの「iOS」エコシステムがさらにむしばまれることになる。
さらに留意しておくべきなのは、中国市場の中心でAppleがファーウェイの影響を受けることだ。Appleはここ数年にわたって、中国で市場を爆発的に拡大させることを目論んでいる。
だがその目論みはまだ具体化していない。ファーウェイなどの企業からの圧力の高まりにより、今のところ実現する可能性は低そうだ。実現しない場合、長期的には「iPhone」の売れ行きが世界的に鈍化するといった、より大きな問題が生じる可能性がある。
ファーウェイが同社の目論みどおりに中国のスマートフォンの市場シェアで50%を獲得でき、アナリストが予測するように2020年末までに世界の市場シェアでサムスンからトップの座を奪うことができたら、iPhoneはさらに影響を受けることになる可能性がある。
今後を詳しく予想することはあまり賢明ではないが、Appleの苦悩はまだ序の口で、同社がクレジットカード「Apple Card」などのサービスに焦点を当てているのは適切なタイミングかもしれないという結論に至らざるを得ない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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