NTTドコモは4月26日、2018年度決算を発表した。売上高は前期比1.7%増の4兆8408億円、営業利益は前期比2.7%増の1兆263億円と、増収増益を記録。同日に実施された決算説明会では、その概要と新料金プラン導入を控える2019年度の業績予想、そして5GやMagic Leapへの出資など、2020年度以降を見据えた取り組みについて説明した。
主力の通信事業は2018年度も、モバイル通信サービスの収入減を、576万契約(前年同期比21%増)に達した「ドコモ光」による収入増で補う形で好調を維持。携帯電話契約数は前年同期比3%増の7845万契約にとどまるが、スマートフォン・タブレットの契約数が4000万を突破したほか、解約率は0.57%、ハンドセット解約率も0.47%と低水準に抑えられている。
一方でスマートライフ領域は、売上高が前期比11億円減の8895億円となっている。その理由について、ドコモ代表取締役社長の吉澤和弘氏は「らでぃっしゅぼーやの売却による売上減少のため」と説明。営業利益は前期比11%増の1473億円となり、当初予測の1400億円を上回るなど好調な業績を達成しているとのことだ。
実際、現在の顧客基盤と位置付けている「dポイントクラブ」の会員数が7015万と、7000万会員を突破。dポイントの利用も前年同期比30%増の1627億ポイント、うちドコモ以外の提携先で利用されたポイントが4割を超える768億ポイントに達するなど、浸透が進んでいる様子を示している。
また金融決済事業に関しても、取扱高が前年同期比24%増の3兆9100億円に達する好調を維持。注目を集めるQRコード決済の「d払い」に関しても、アプリのダウンロード数が400万を突破するなど、順調に拡大しているという。
そうしたことから、2021年度の目標に向けた中期オペレーション指標の進捗は順調だと吉澤氏は説明するが、一方で2019年度の業績予想に関しては、2019年6月より提供予定の、通信料金と端末代金を分離した新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の導入によって、2000億円規模の顧客還元を見込んでいるとのことだ。
2019年度の業績予想は、売上高は当期比2608億円減の4兆5800億円、営業利益は前年度比1836億円減の8300億円と、大幅な減収減益を見込んでいるという。その減少を補うべく、好調なスマートライフ領域は前年度比127億円増の1600億円と予想するほか、コスト効率化も2019年度の1200億円からさらに上積みし、1300億円を見込んでいるという。
さらに吉澤氏は、2019年度に今後の競争力強化を図るべく、デジタルマーケティングの推進を加速していく考えも示した。具体的には、「+d」による共創の取り組みで拡大したビジネスパートナーと、dポイントなどで拡大してきた顧客基盤を活用することで、マーケティングオートメーションを整備し顧客と企業とのリレーションを強化。総合的に売上を上げていく戦略をとるとのことだ。こうした取り組みによって「2019年度を利益の底にし、早期に利益を回復させる」と吉澤氏は話す。
新料金プランに関しては分かりにくいとの声も多いことから、吉澤氏は「これ以外に基本料がかかると言われているが、そんなことはない。全てワンパッケージになっている」と、その概要について改めて説明。特に3親等以内で組むことができる「ファミリー割引グループ」の対象者が安くなる仕組みに関しては、「(現行の料金プランが)データ通信量をシェアするプランだったことから、シェアしていないとファミリー割引グループに入っていないのか、という声があった」とのことで、誤解を解くためのPR活動を積極化する考えを示した。
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