英国はなぜ米国の警告を無視してファーウェイの5G機器を受け入れるのか

Steve Ranger (CNET News) 翻訳校正: 編集部2019年04月27日 09時00分

 英国は自国の5G次世代モバイルネットワーク構築で、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に対して少なくとも限定的な技術提供を許可する見込みだ。ファーウェイを5G構築に参入させることのセキュリティリスクについては米国が警告しているにもかかわらずだ。

 報道によると、多数の閣僚が懸念を示す中、英国政府による5Gセキュリティに関する調査の結果、中核ではないネットワークの一部にファーウェイの技術を採用することを認めるという。

 5Gは、テクノロジー、経済、国家安全保障、そして国際関係が複雑に絡み合った考察の中心にあり、この決定にはそれらのすべての要素がかかわっている。

 テクノロジーの面では、5Gは将来、自動運転車からスマートシティ、IoTの普及など、さまざまなサービスのための目に見えないインフラを提供することになるので重要だ。

 こうしたサービスのすべては、膨大な数のデバイスを接続し、無線による情報共有を可能にする5Gの能力にかかっている。5Gを使って新サービスを導入したり、既存のサービスをより効率的にしたりすることで、多大な経済的メリットが得られ、採用した国々の成長を後押しするだろう。

 だが、5Gネットワークはその上に構築するデジタルサービスの中核的なインフラになるだけに、セキュリティが非常に重要だ。問題は、敵対的勢力がネットワーク上のデータを盗み見る可能性だけではなく、サービスの円滑な機能を阻止する可能性さえあるということだ。

 5Gネットワークの実現が近づくにつれ、特に米国では、中国企業が5Gネットワーク向けのテクノロジーを多数提供することに対する懸念が高まっている。

 米国は長い間、中国のネットワーク大手に懸念を抱いている。さかのぼれば2014年には政府との契約企業がファーウェイ製品を使うことを禁止した。最近では、英国を含む複数の国にファーウェイ製品の使用をやめるよう圧力を高めており、ファーウェイのネットワーク製品を使う国々とは情報共有を減らすと警告さえしている。オーストラリアは国家安全保障上の理由で5Gネットワークからファーウェイを締め出した。また、ニュージーランド政府は2018年、ある通信キャリアによる5Gネットワークでのファーウェイ製品の採用申請を却下した。欧州もまた、5Gネットワークの安全性について懸念している。

 だが、英国とファーウェイの関係は、かなり特殊だ。ファーウェイ製品は英国の通信ネットワークで長年使われている。そして、英国政府が長年にわたって抱えているセキュリティ上のリスクを軽減するために、ファーウェイは製品実用化の前に英政府と共同で運営するオックスフォードシャー州のセキュリティ評価センターで潜在的なセキュリティ上の欠陥を検出するための検査を義務付けられている。

 それで完璧とは言えない。セキュリティ評価センターの監督団体は最近の報告書で、ファーウェイのエンジニアリングプロセスの「重大な技術的問題」と、ソフトウェアエンジニアリングおよびサイバーセキュリティプロセスの「根本的な欠陥」を発見したと警告した。だが、それらの問題は中国政府による干渉の結果ではないとも語った。

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