米国から安全保障上の脅威を警告されている華為技術(ファーウェイ)について、英国が5Gネットワーク構築プロジェクトへの参入を許可する模様だと、ある報道が伝えている。
このThe Telegraphの報道によれば、英国のTheresa May首相がファーウェイの参入にゴーサインを出したという。また、英国の国家安全保障会議はファーウェイに対し、「アンテナなどの『非中核』部分のインフラについて、ネットワークの一部の構築への参入を限定的ながら許可する」決定を下したようだ。
ただしこの記事によれば、Sajid Javid内務大臣、Jeremy Hunt外務大臣、Gavin Williamson国防大臣、Liam Fox国際貿易大臣、Penny Mordaunt国際開発大臣という5人の大臣が、ファーウェイをベンダーに加えることについて、国家安全保障上の懸念を表明したという。
さらにThe Telegraphは、英政府通信本部(GCHQ)のJeremy Fleming長官が今週中にグラスゴーで、サイバー攻撃の脅威の高まりに関する講演を行う予定だと報じている。
3月後半には、英国のネットワークで使用されるファーウェイ製品の安全性を監視する委員会が、ファーウェイのエンジニアリングプロセスに存在する技術的問題によって新たなリスクが生じていると警告していた。
「さらに重要ないくつかの技術的問題がファーウェイのエンジニアリングプロセスにおいて確認されており、このことが英国の電気通信ネットワークに新たなリスクをもたらしている」と、ファーウェイサイバーセキュリティ評価センター(HCSEC)監視委員会は年次報告書に記していた。この委員会は、英国の通信事業者のネットワークで使用されている、ファーウェイ製品の安全性を評価するチームを監督している。
さらにこの年次報告書は、「全体的に見て、当監視委員会の見解としては、英国の基幹ネットワークにファーウェイ製品を含めることで英国の国家安全保障にもたらされるすべてのリスクが長期的に緩和可能であるという確証は、限定的なものにとどまっている」と警告していた。
ただし、発見された問題が中国政府の介入によるものだとは考えられないという記述も、この報告書には書かれていた。
米国のTrump政権は3月、ファーウェイがドイツの5Gモバイルネットワークの背後にある技術のいずれかを提供することが許された場合、ドイツ政府との情報の共有を制限するとドイツに通告したと報じられた。
2月初旬にReutersが報じたように、Angela Merkel首相がドイツの5G通信網構築にファーウェイを参加させる際は条件を設けると述べたことを受けて、同国の閣僚は会議を重ねてきた。
この会議が行われる少し前の2018年末には、米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの5カ国で構成される同盟ファイブ・アイズが、中国による他国への干渉に関する機密情報を日本やドイツに提供していると報じられた。
3月にドイツの連邦ネットワーク庁であるBundesnetzagentur (BNetzA)は、すべてのモバイルネットワークに求められるセキュリティ要件を発表している。これらの要件は今春のうちに草稿形式で記載される予定だ。
一方のファーウェイは欧州からの締め出しを避けるため、「これが信頼あるソリューションだと関係当局に認められるなら」ポーランドにサイバーセキュリティーのハブとなる拠点を設ける意向であると述べたことを、Reutersは報じている。
またReutersによると、同社では欧州諸国の政府による監査も受ける意向も示しているという。
同社は先ごろ、ブリュッセルに「Cyber Security Transparency Centre」を開設している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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