Intelがスマートフォン向け5Gチップ事業を終了する。これにより、Appleの「iPhone」向け5Gチップのサプライヤー候補は1社のみとなった。
Intelは5Gスマートフォン向けモデム事業から撤退することを米国時間4月16日に発表した。同社はApple向けのプロセッサーの開発に取り組んできており、そのチップは2020年にiPhoneに搭載される見通しだった。このところ、そのチップが搭載されるのは2021年のiPhoneになるのではないかという懸念の声が上がっていた。
Intelはプレスリリースで、「当社は既存の4Gスマートフォン向けモデム製品ラインに関して、今後も既存の顧客に対する約束を果たしていくが、スマートフォン分野で5Gモデム製品を発売する予定はない。それには、当初2020年に発売する予定だった5Gモデム製品も含まれる」と述べた。Intelのモデムの顧客は、Appleだけだ。
Intelは、「PCやIoT機器、そのほかのデータ中心の機器における4Gおよび5Gモデムの機会の評価を完了する」とした。さらに、「5Gネットワークインフラストラクチャー事業への投資は今後も継続する」とも述べた。
Intelの最高経営責任者(CEO)のBob Swan氏は声明の中で、「われわれは5Gの機会とネットワークの『クラウド化』に非常に期待しているが、スマートフォン向けモデム事業には、収益性や利益への明確な道筋がないことが明白になった」と述べている。
この発表は、AppleとQualcommがおよそ2年にわたる法廷闘争の終結を発表したすぐ後に出された。Appleは2017年1月、Qualcommが自社のチップに対して不当なライセンス料を請求していることなどを訴えて、訴訟を起こした。Qualcommは、同社の技術なしではiPhoneは実現しておらず、イノベーションへの対価が支払われるべきだと反論していた。
Intelが5Gモデム事業から撤退すると、Appleが利用できるモデムサプライヤーは、再びQualcommのみになる。Appleは独自のアプリケーションプロセッサー(iPhoneの頭脳)を製造しているが、ネットワーク接続に関しては、サードパーティー製のチップに頼っている。2011年の「iPhone 4S」から2015年の「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」まで、それらのチップの唯一のサプライヤーはQualcommだった。2016年、Appleは「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」の一部のモデルでIntel製モデムを採用したが、VerizonとSprint向けのバージョンでは、それまで通りQualcomm製のモデムを使用していた。
2017年も同じ措置がとられたが、Appleの最新のスマートフォン(「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」)では、Intel製の4Gチップだけが使用されている。AppleはQualcommを非難したが、両社の特許紛争は解決済みなので、Qualcommは再びAppleにチップを供給するだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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