法執行機関の捜査が行き詰まると、新たな手掛かりになるかもしれない位置情報データを求めて当局が目を向ける情報源がある。それはGoogleだ。
The New York Times(NYT)が米国時間4月13日に報じたところによると、米警察はGoogleのデータベース「Sensorvault」の情報を、全米各地で起こった刑事事件の捜査に利用しているという。このデータベースには、世界中の膨大な数の電話から取得した詳細な位置情報の記録が保管されていると記事では伝えている。その目的は、Google製品のユーザーに関する情報を集めることで、Googleが広告ターゲティングの精度を高めるとともに、それらの広告の効果を測定できるようにすることだ。
しかし、警察はこのデータベースを、捜査で欠けているパズルのピースを見つけるために役立てている。法執行機関は、位置情報データの提出を要請する「ジオフェンス」令状を取得できる。記事によると、この種の要請はここ半年で急増しており、Googleは1週間で180件もの要請を受けたことがあるという。
Googleで法執行および情報セキュリティ担当ディレクターを務めるRichard Salgado氏は、声明の中で次のように述べている。「われわれは、法執行機関の重要な業務を支援しつつ、ユーザーのプライバシーを積極的に保護している。当社はこれらの具体的な要請に対し、法的義務を順守しながら、開示するデータの範囲を絞り込み、法的に必要な特定のユーザーを識別する情報だけを提供するよう設計された新たなプロセスを作った」
記事によると、ジオフェンス令状の場合、警察が特定の地域や期間を指定すると、Googleはその条件を満たしたデバイスについてSensorvaultから情報を収集できる。この情報は匿名だが、警察はそれを分析して、捜査に関連があるかもしれないと判断した数台のデバイスに絞り込める。NYTによると、その後Googleが該当するユーザーの氏名などのデータを開示するという。
法執行機関の手法に関するこのニュースの背景には、テクノロジー業界がデータ収集慣行をめぐって厳しい調査に直面している現状がある。
法執行機関が捜査に際してテクノロジー企業に支援を求めるのは珍しいことではない。しかし、Sensorvaultのデータの使用は、容疑をかけられる無実の人々に関する懸念を引き起こした。NYTは、殺人事件の捜査で2018年に逮捕されたある男性にインタビューしている。記事によると、Googleのデータによってこの男性が警察の目に止まり、逮捕につながったという。1週間後、捜査官が別の容疑者を特定して逮捕したことで、男性は釈放された。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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