Sundar Pichai氏が最初にGoogleの就職面接を受けたのは、「Gmail」の提供開始日と同じ、2004年4月1日のことだった。同氏は数年前、筆者にそう話してくれた。やがて同社の最高経営責任者(CEO)まで上り詰めたPichai氏によると、当時はGmailのことをエイプリルフールの冗談だと思ったという。
それから15年が経過した今、Gmailが冗談でないことはどう見ても明らかだ。ウェブベースのシステムであるGmailの月間ユーザー数は15億人に上る。参考までに、「Yahoo Mail」の月間ユーザー数は2億2800万人だ。Gmailは少しずつ、「AOL Mail」や「Hotmail」といった当時の人気電子メールサービスを脇へ追いやっていった。Gmailは今も消費者向けの無料サービスだが、現在では、プレゼンテーションやワープロソフトウェアを含む有料のエンタープライズ製品スイート「G Suite」の大黒柱でもある。
米国時間4月1日には、15周年を記念してGmailの複数の新機能が発表された。まず、作成した電子メールを後日送信するように設定できる機能だ。さらに、「Smart Compose(スマート作成)」機能をすべての「Android」スマートフォンで利用できるようにすることも明らかにした。Smart Composeは、人工知能(AI)を活用してユーザーが電子メールに次に入力するテキストを予測するもの。この機能はこれまで、PCとGoogleの「Pixel」スマートフォンでしか利用できなかった。同社によると、「iOS」にも「近いうちに」提供されるという。また、Smart Composeの対応言語に、これまでの英語に加えてスペイン語、フランス語、イタリア語、ポルトガル語の4つが追加される。
Gmailの成功がもたらしたものは、単に便利で人気のある製品を開発したという事実だけではなかった。Gmailは、Googleの歩む道を永遠に変えた。Googleが検索以外の分野でも優位に立てる可能性があることを自社に証明した最初のサービスだった。Googleが私たちのオンライン生活のあらゆる側面に関わることを目指すようになったきっかけでもある。
Gmail提供開始の翌年、同社は「Googleマップ」を公開した。Googleマップは今ではウェブ上で最も人気の高い地図サービスである。Googleは「Android」とYouTube(それぞれ、最大のモバイルOSと最大の動画共有サイト)も買収した。さらに同社は、Microsoftの「Internet Explorer」(IE)が最大のシェアを誇っていたときに「Chrome」ブラウザを開発し、IEを首位の座から引きずり下ろした。これらすべてのGoogleサービスには、それぞれ10億人以上のユーザーがいる。Androidだけを見ても、世界中で出荷されるスマートフォンの9割近くに搭載されている。
「Gmailは、Googleの別の側面を見せてくれたサービスだった。もしGmailが失敗に終わっていたら、同社はほかのさまざまなサービスを、あれほど積極的に試そうとしただろうか」。TECHnalysis ResearchのプレジデントであるBob O'Donnell氏は、そう指摘する。
Googleの共同創設者のLarry Page氏にとって、Gmailは、サービスが提供され始めた時点では、賭けだったという。
Page氏は2013年、Wiredに対して、次のように語っている。「Gmailをリリースしたとき、われわれは検索の会社だった。電子メール製品を提供することは、われわれにとって大きな変化だった」
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