Gmailは、物事を10倍のスケールで考えるという、同社の有名な「10X」思考において大きな役割を果たした。10X思考とは、段階的な改善ではなく、壮大な革新を目指す哲学のことだ。Gmailの壮大な革新は何だったのかというと、保存容量である。同サービスは、当時ほかの電子メールサービスが提供していた保存容量の100倍、つまり1Gバイトの保存容量を提供したのだ。
こうした思考は、自動運転車やインターネットに接続するコンタクトレンズ、スマートシティなど、同社の極めて野心的なプロジェクトへの道を切り開いた。この考え方は、同社がそうしたプロジェクトを世に出せるように「Google X」という研究部門を創設するきっかけにもなった(GoogleがAlphabetという親会社の下で再編された後、Google XはXというシンプルな名称に変更されている)。
もちろん、Googleがより複雑な企業になるにつれて、同社の抱える問題もより複雑化した。Googleはそのサイズと規模故に、厳しい監視の目にさらされている。偽情報の拡散を食い止められなかったことや、中国での検閲を支援している可能性に関して、同社は議員や一般の人々から批判を浴びてきた。Pichai氏は先週、Donald Trump大統領と面会し、同社の中国での取り組みや米国におけるGoogleの「政治的な公平さ」について話し合った(保守派は、同社には左派寄りの傾向があると非難している)。
Gmail自体も議論を巻き起こしている。2018年、一部のサードパーティーのソフトウェア開発者がGmailユーザーの電子メールを読めるようになっていることが報じられ、同サービスのデータプライバシーに関する方針が批判にさらされた。Googleは、そうしたアプリのインストール時の権限画面には、開発者がメールの内容を読むことがあると記載されており、ユーザーの許可を得ていることを強調したが、ユーザーは自分が何に許可を与えようとしているのかをよく理解していなかったことが考えられる。
Gmailを率いるTom Holman氏はインタビュー(テーマはもちろんGmail)で、次のように語っている。「ユーザーの情報の安全性とセキュリティ、完全な可用性を確保するため、Googleはありとあらゆる措置を講じている。ユーザーのデータのセキュリティを守るという当社の約束は絶対であり、われわれはそれを危険にさらそうとするあらゆる人間と戦い続ける」
その一方で、Gmailは今も進化を続けている。Googleは2018年4月、同サービスを大幅に刷新し、メッセージが後でポップアップ表示されるように「スヌーズ」する機能や、電子メールメッセージを実際に開くことなく写真やPDFなどの添付ファイルを開く機能など、さまざまな新機能を追加した。先週には、「動的な」電子メールの提供も開始した。これを利用すれば、受信トレイから直接アンケートに記入したり、ホテルを検索したりすることができる。
それでは、これからの15年間はどうなるのだろうか。Holman氏によると、注力している1つの分野が、「Asana」や「Trello」といったほかのコラボレーション製品との連携だという。電子メールサービスは「Slack」のようなほかのコミュニケーションソフトウェアと競合するため、そのような統合が重要だ、とTECHnalysis ResearchのO'Donnell氏は語る。
「数年前、電子メールは消滅すると宣言する人々がいたが、それは起こらなかった。だが、今後、興味深い進化が起きるだろう」(O'Donnell氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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