悪質コンテンツ対策やプライバシー保護に当局の規制必要--Facebookのザッカーバーグ氏が考え示す

　Facebookの最高経営責任者（CEO）であるMark Zuckerberg氏は、The Washington Postが米国時間3月30日に公開した論説の中で、インターネットには新たなルールが必要だとの考えを示している。同氏は記事の中で、Facebookでの偽情報や政治広告の管理、ユーザーデータの保護といった問題に対して、Facebookのような企業は「莫大な責任」を負うと述べた。それでも、企業には何らかの指針が必要だとした。

Facebook CEO Mark Zuckerberg氏
提供：James Martin/CNET

　Zuckerberg氏は、「われわれは言論に対して過大な支配力があると政治家に言われることが多い」とし、「率直に言って私もそのとおりだと思う。言論に関する多くの重要な決定を、われわれが独自に下すべきではないと考えるようになった」と述べている。

　また同氏は、「政府や規制当局がより積極的な役割を果たすことが必要だ」としている。

　これまでにもZuckerberg氏は、規制を歓迎するが、それが適切なものである場合に限ると述べていた。同氏は30日の論説で、思い描く構想を明らかにし、新たな規制が必要な分野として、悪影響を及ぼすコンテンツ、選挙の完全性、プライバシー、データポータビリティの4つを挙げた。それらに共通して必要となるのは、業界規模の規格とフレームワークだ。

　悪影響を及ぼすコンテンツについては、ガイドラインを確立し、企業による遵守を義務づける団体を設けるというアイデアを示している。

　Zuckerberg氏は、「悪影響を及ぼすコンテンツの流布を管理する基準を設け、その基準で企業を評価する第3者機関を設けるというのが1つのアイデアだ。規則は、何が禁止されているかの基準を示すとともに、企業に有害なコンテンツを最低限に抑えるシステムを構築するよう求めるものになる可能性がある」と述べた。また、企業は自社の取り組み状況を報告する透明性レポートを四半期ごとに公表すべきだとしている。

　選挙の公平性を守ることについても指針が必要だという。

　「広告が政治的かどうかを判断することは、単純であるとは限らない。規制によって政治アクターについて確認する一般的な基準が作られれば、当社のシステムはより効率的になるだろう」（Zuckerberg氏）

　Zuckerberg氏は、オンラインの政治広告に関する現在の法律は不十分だとし、不和や選挙干渉を引き起こそうとする人に悪用される対立を生むような問題よりも、候補者や選挙キャンペーンを重視しているためだと指摘している。同氏はさらに、一部の法律は選挙期間中のみ適用されるが、「情報キャンペーンは止まることがない」と述べている。

　「法律は、脅威の現実を反映してアップデートされ、業界全体に向けた基準を定めるべきだ」（Zuckerberg氏）

　効果的なプライバシー保護についても、「グローバルに調和の取れたフレームワーク」が必要だとZuckerberg氏は説明している。

　同氏は、「世界中の人々が、欧州連合（EU）の一般データ保護規則（GDPR）に沿った包括的なプライバシー規則を求めており、私も同感だ」と述べている。

　「私はまた、国や州によって大きく変わる規則よりも、世界共通のフレームワークが、インターネットが壊されず、起業家がどのような人でも使える製品を作ることができ、誰もが同じ保護を受けられるようにすることを保証する手段だと考えている」（Zuckerberg氏）

　「（そうした規則は）、企業が安全そしてサービス提供のために情報を利用できるようにしながら、情報がどのように利用されるかを人々が選ぶ権利を保護するべきだ」と同氏は述べた。また、制裁を通じて企業が責任を負う仕組みを定めるべきだとしている。

　Zuckerberg氏は、データポータビリティについても規制によって指針が保証されるべきだと述べている。