Kids Creators Studioは3月27日、「完成作品プロモーション動画発表会」を開催した。4名の小学生たちがそれぞれ自作したアプリの紹介とデザイン改善箇所について動画でプレゼンテーションした。
Kids Creators Studioは、サイバーエージェント子会社のCA Tech Kidsが運営するプログラミングスクール「Tech Kids School」とアドビが連携し、2017年8月に発足した次世代クリエイター育成プロジェクトだ。小学生を対象に、「テクノロジー(技術)」と「クリエイティビティ(創造性)」の両方について本格的な教育を実践している。
冒頭では、CA Tech Kids代表取締役社長の上野朝大氏がプロジェクト発足の経緯について語った。Tech Kids Schoolでは、2013年からプログラミング教育を行ってきたが、子どもたちから“見栄え”についての声が挙がるようになってきたという。「ゲームを作れるようになったが見た目がダサい。フリー素材を使うのでは物足りない。まったく新しいものを生み出して表現していきたい」といった声だ。
そこで、2017年にアドビらが参画した「Kids Creator's Studio」を発足。第一期生はTech Kids Schoolから選ばれた5名が参加した。今回作品を発表した第二期生は小学生の男女4名で構成されている。
「プログラミングは手段に過ぎず、どんな価値を生み出していくかが重要だ。子どもたちがプログラミングだけでは物足りなくなってきたということであれば、次の道具を授けようと考えた。すなわち、デザインやクリエイティビティだ。この4名ともオリジナルアプリを開発したことがあるお子さんたちで、自分のアプリをどうブラッシュアップするか、自分のアプリの魅力をどうやってより多くの人に伝えていくか、半年間にわたってチャレンジしてもらった」と上野氏は説明する。4人のチャレンジに際しては、サイバーエージェントのクリエイティブデザイナーや映像ディレクターが講師として加わったという。
Kids Creator's Studioでは、大人が使っているアドビの製品を子どもたちに使わせている。IllustratorやPhotoshop、Premiere Rush、Adobe XDなどのツールを使った。
「勝手に大人が天井を決めるのではなく、積極的に与えていく。我々はプログラマーやデザイナー、動画クリエイターを育てたいのではない。プログラミング、デザイン、動画制作はすべて手段であり、表現のあり方のひとつ。大事なことは自分の中で持っているアイデアや問題意識を、手段を用いてどうやってアウトプットしていくかだ。それこそが本当の価値である。価値をデジタルの力を駆使して具体化できる。そういう人たちのことを我々はクリエイターと呼びたいと思っている」と上野氏は述べ、4名の小学生を“クリエイター”として紹介した。
はじめに登壇したのは、岡村有沙さん(小6、大阪在住)だ。自己紹介に続いて、アプリの機能紹介や改善点が含まれた動画を上映した。岡村さんが作ったアプリは「Remind Me」。位置情報でタスクを管理できるアプリだ。動画は岡村さんのイラストで昔話風にアプリを紹介するもの。物忘れに困ったおじいさんのもとに実写の岡村さんが降ってきて、アプリの機能を紹介する。今回の講座により、ToDoを色分けできるタグを追加したといった改善点を紹介し、利用者の声も載せた。
岡村さんは「動画で工夫した点は、アニメーションを入れることで見ている人が飽きないようにしたこと。また、声や音楽、映像がずれないように気を付けた。新しいことを学べたので、今後もビデオ制作ソフトを使って色々挑戦していきたい」と話した。
続いての登壇者は、澁谷知希さん(小5、埼玉在住)。自己紹介動画では、4歳の頃からHTMLのコードを書き始め、6歳でTech Kids Schoolの「Webコース」に入学、10歳で「Unityコース」へと移ったことを説明した。作成したのは天気に合わせた服を教えてくれる「今日の服何着てく?」というアプリ。アプリ紹介は、自身が毎朝の洋服選びに悩んでいるところから始まり、開発で苦労した点などを図入りで分かりやすく伝えながら、最後はクスッと笑えるオチを付けるなど、メリハリの効いた動画となっていた。
澁谷さんは、分からないことがあれば「もちろんネットで」調べるという。天気のデータはAPIで取得しているが、それも自分で調べて実現した。「今まではデザインのことを気にしていなかったので、ユーザー視点からは見にくいものだった。アドビのツールを使うことで、分かりやすく改善することができた」と今回のプロジェクトを振り返る。そして今後は、ハードウェアにも挑戦していきたいと展望を語った。
3人目は、大嶺結葉さん(小6、沖縄在住)。プログラミングと歴史が大好きだと動画で自己紹介をした。大嶺さんの作ったアプリは、ベジタリアンが自身のことを苦労せずに説明できる「Veg-菜」。動画では、アプリの良い点を「3カ国語対応であること」「代替食品が調べられること」など、1つずつはっきりとアピール。今回の講座では、ボタンを立体的にするなどの改善を行ったことを紹介した。
実際にベジタリアンに使ってもらったところ、旅行先でも便利に使えて「言うことなし」と太鼓判をもらったと大嶺さんは話した。また、ベジタリアンのことを知ってもらいたい人に見せるためのアプリなので、見やすい画面デザインになるように相談しながら改善したことなども紹介した。今後は献立も提案できるようにしたいという。
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