既存事業の足腰がしっかりしている企業、特に大企業にとって「新事業の創出」は困難がともなう。それまでの流れを踏まえた“新製品”を送り出すのは簡単だが、まったく目先の異なる新事業となると、社内の利害調整が一気に複雑化していく。
こうした悩みにどう向き合うべきか。ビジネスカンファレンス「CNET Japan Live 2019」にて、マクアケの木内文昭氏(取締役/共同創業者)が登壇。クラウドファンディングサービス「Makuake」を用いた開発・インキュベーション支援の実態について、東洋紡の楠本敏晴氏(経営企画部 事業開発グループ マネジャー)と共に語った。
Makuakeは、サイバーエージェントグループのマクアケが運営するクラウドファンディングサービス。2013年に運営がスタートし、これまでに5500件以上のプロジェクトで資金調達が達成された。現在のプロジェクト開設数は毎月約200件にのぼるという。
木内氏がいま力を注いでいるのが、新商品を開発したい・新事業を立ち上げたいという企業に対するインキュベーション支援(サポート名「Makuake Incubation Studio」以下、MIS)だ。「Makuakeはクラウドファンディングのプラットフォームなので、まず商品・サービスの企画とそこにお金が集まるかが基本。ただ、その前の段階として、企業がなにかしらの技術を持っていても上手く製品・事業に繋げられないという悩みは多い」とし、「Makuakeにおいて、消費者の実際の購買行動にもとづいたマーケティングを行う」と同氏は語る。
この取り組みによって、27社・31プロジェクトの創出に成功。どれもが宣伝・マーケティングの範囲にとどまらず、企業側が実際に売上を立てるところまでをMakuakeがサポートした。
営利企業であれば、新製品・新サービス創出の下地となる「研究開発」は、当然重要な要素である。しかし、2012年に内閣府が出した資料によれば、日本の研究開発効率は先進7カ国中で最低だった。
一方、アドビが実施した大規模アンケート調査「State of Create 2016」によれば、東京が世界で最もクリエイティブな街との結果が出た。ただ、この調査において「自分はクリエイティブだ」と回答した人の平均は全世界で41%だったものの、日本のみでは13%にとどまった。
このように、日本の現状を示す“統計上の数値”はいくつもあるが、企業の現場での実感とはやや乖離しているきらいがあると木内氏は指摘。「統計的な資料を見て悲観するのではなく、このような局面を打開するために、結局は自分たちがどうしたいのかという話では」とする。
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