Appleは、同社が「App Store」の力を乱用して競争を阻害していると訴えたSpotifyの「誤解を招く」苦情に反論し、大手に成長した今になって小規模開発者の不利な立場にただ乗りしようとしているとしてSpotifyを批判した。
Appleは米国時間3月14日遅くに出した声明で次のように述べている。「App Storeのエコシステムが介在しなければ、Spotifyが今日のような事業に成長することはなかったでしょう。しかし今や彼らは大きくなった自社の規模を利用して、App Storeのエコシステム維持に貢献することを避けようとしています。それは違うのではないかと、私たちは考えています」
Spotifyは13日、Appleが「App Store」で競合企業に不利な条件を課し、イノベーションを阻害し、競争を抑制しているとして、欧州の規制当局に苦情を申し立てていた。
Appleの声明を受けてSpotifyは15日、Appleが「明らかに法律に違反」しているApp Storeの慣行によって、競争を阻害し、消費者に損害を与えているとの主張を繰り返した。
「独占主義者はみな、何も間違ったことはしていないと言い、競合他社や消費者の利益を心から最大限に考えていると主張するものだ」「そういう意味で、当社が欧州委員会に申し立てた苦情に対するAppleの反応は目新しいものではなく、まさにわれわれの予想どおりだ」(Spotify)
Spotifyはさらに、「『iOS』におけるSpotifyのユーザーはAppleの顧客であり、Spotifyの顧客ではない」ことを示唆するAppleの声明は、「Appleとの問題の核心を突いている」と述べた。
Appleは声明の中で、「Appleという企業、Appleが打ち出したビジネスモデル、Appleが(中略)取り組んでいることについて、Spotifyが誤解を招くような表現を用いることで同社の財務的な動機付けを隠そうとしている点については、適切に応じておかねばならないと感じています」と述べた。
Appleは、同社がSpotifyによるアプリのアップデートを却下し、開発者に義務付けているルールをねじ曲げることで、Spotifyの競争力を阻害したとする主張に反論した。
「当社がSpotifyに成り代わり承認・配信してきたアプリケーションのアップデート数は200に及び、この結果、Spotifyアプリケーションのダウンロード数は累計3億回を超えるに至っています。これを当社が例外的に行わなかったのは、Spotifyがアプリケーションのアップデートの際に、共通ルールを回避するような仕組みを仕込んでいたケースです」(Apple)
Appleは、Spotifyによる主張や表現の多くを、誤解を招くものと表現した。Appleが指摘したのは、30%の手数料に関するSpotifyの主張について、この課金が適用されるのは年間サブスクリプションの初年度だけで、その後は毎年15%に減少することにSpotifyが「言及していない」点だ。「Siri」「HomePod」「Apple Watch」などのサービスやデバイスから閉め出されたというSpotifyの主張について、決定権はSpotifyにあることを示唆した。Siriと「AirPlay 2」への対応については、Spotifyから要請があればいつでも協力すると述べている。
Appleは、Spotifyの顧客は、その相当数が広告支援型の無料版アプリを利用しているか、携帯電話事業者のプロモーションによる有料プランに登録していると指摘した。どちらもAppleに利益をもたらさない。
「現在でも、Appleのレベニューシェアリングモデルの対象となるのは、Spotify購読料金の内ごくわずかな部分のみだが、Spotifyはこの数字をゼロにするように求めている」(Apple)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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