変えたのは住宅ローンの最適化と働き方--iYellが極めた「日本一ちょうどいいベンチャー企業」 - (page 2)

個人、金融、不動産会社向けに用意した3つのサービス

――住宅ローンの“苦痛”をなくすためにどういったサービスを用意していますか。

 個人向けに”最高の住宅ローン”を提案する住宅ローン総合サイト「住宅ローンの窓口ONLINE」、住宅ローン事業を展開する各種金融機関向けに、テクノロジーを駆使して業務を支援する「金融機関向け住宅ローンテックサポート」、不動産会社による住宅ローン業務を効率化するアプリ「いえーる ダンドリ」の3つを主に提供しています。

 住宅ローンの窓口ONLINEは、「ほけんの窓口」の住宅ローン版的サービスで、住宅ローン商品を徹底比較し、人それぞれのライフプランにマッチした住宅ローン商品の提案を目的としています。ここを見ていただくことによって、iYellがどんなことをやっている会社なのか、わかっていただける自己紹介的な意味も込めています。

住宅ローンの窓口ONLINE
住宅ローンの窓口ONLINE

 金融機関向け住宅ローンテックサポートは、住宅ローンに関するユーザーからの質問に自動的に応答する「住宅ローン専用チャットボット」を提供するほか、審査のBPO業務や住宅ローンに特化したOCRを活用した入力業務自動化といったバックオフィスの業務効率化などを支援するサービス。ここは、数を押さえたいと思っているので、現在、戦略的に営業展開を仕掛けている最中です。

 最後が不動産会社向けのいえーる ダンドリです。実は住宅ローンをユーザー自ら選んだ人は全体の1割程度で、約9割の人が不動産会社に紹介してもらうことで住宅ローンを決めています。しかし住宅ローンの仲介は不動産会社の本業ではないので、近くにある銀行の商品を奨めることがほとんど。それでは、お客様にとって最適な住宅ローンかどうかはわからない。そこで、いえーる ダンドリではアプリを使って、住宅ローンの専門家が住宅事業者様に替わりお客様をサポート。スケジュールの共有や、タスクの期限設定により伝達漏れ、対応漏れをなくすほか、住宅ローン電卓を用意し、その場で簡単な住宅ローンの提案ができます。

住宅ローンレコメンデーションエンジン
住宅ローンレコメンデーションエンジン

 すでに約480社の不動産会社に利用されていて、これによって、不動産会社は住宅を販売するという本来の仕事に集中できることがメリットです。

――不動産会社はかなりの業務効率改善につながりそうですね。

 現在、住宅ローン関連の業務に割いていた20~30%の業務がゼロになる計算です。お客様に紹介する住宅ローンも、画一的なものではなく、お客様の属性にあったご提案ができるようになっています。

低頻度高単価の住宅ローンは人手を介したほうがうまくいく

――属性にあった住宅ローンの選定はどのように提案しているのですか。

 AIレコメンドエンジンを使っています。数百個ある住宅ローン商品をデータとして持ち、お客様の属性を聞くだけでレコメンデーションできる仕組みを整えています。特徴的なのは、お客様の属性ありきで住宅ローンを決めること。物件ありきで住宅ローンを組むと、物件データがないとローンを導き出せないので、審査に時間がかかってしまいますが、属性を軸に据えていると、すぐに審査に通るかどうかわかります。重宝されるのは中古物件購入時。審査スピードが早いため、早めに購入希望を示せます。

 また、住宅ローンには建物が全部出来上がった状態でしかローンが組めない物件もありますが、土地を購入するために必要な資金を融資できる「つなぎ融資ローン」というものがあります。これは金融機関によっては用意していないところもあるので、適切なレコメンドができなければ、物件の購入を諦めなければならなくなる。そうした複合的なジャッジをして、紹介することが、住宅ローンには重要であって、金利が安いものが最適とは限りません。

――そうした複合的なジャッジは不動産会社には難しそうですね。

 iYellにはそのあたりのノウハウがあるので、それを定量化するとAIレコメンデーションが可能になります。最適な住宅ローンを選ぶことで、住宅購入ができなかったお客様も購入できるようになるなど、お客様を取り逃がさない対策としても有効だと思っています。

 AIレコメンデーションは、あくまで裏側の仕組みで、実際お客様の属性をスタッフが聞き、いただいた情報を入力することで導き出しています。入力してわかるのであれば、お客様が直接操作しても良いと思われるかもしれませんが、住宅ローンは高額なため、間に人が入ることが、お客様の安心感につながります。

 高額であればあるほど、人を介する効果が高いと思っていて、これはインターネットとの相性についても同様のことが言えます。購入頻度が高く、単価の安いものであれば、ネットショッピングとの相性は高いですが、住宅やクルマなど、購入頻度が低く、単価の高いものとの相性は低い。そのため、この領域にはまだ人手が必要だと思っています。

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