カギは“Delight”を突き詰める--DeNAのヘルスケア事業成長の舞台裏

 ゲームプラットフォーム「モバゲー」で雷名をとどろかせたDeNAだが、近年の新規事業ラッシュには驚かされる。プロ野球・横浜DeNAベイスターズの運営でスポーツ事業に参入。さらには自動運転車両による移動サービスやタクシーの配車サービス、そしてライブ配信の「SHOWROOM」なども手がけるようになった。

 そしてもう1つ、ヘルスケアもDeNAが新たに取り組んでいる分野だ。「CNET Japan Live 2019」ではディー・エヌ・エーの瀬川翔氏(執行役員 ヘルスケア事業本部長)が登壇。ヘルスケア事業の責任者として、その事業目的や、製品開発の舞台裏を語った。

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ディー・エヌ・エーの瀬川翔氏(執行役員 ヘルスケア事業本部長)

順調に成長中のDeNA流ヘルスケア

 日本の医療費が年々増大する傾向にあることは、もはや誰もが知る社会問題だ。2018年には40兆円に達しており、これが2025年には50兆円へ増えると見込まれる。米国ではすでに自己破産の原因の6割が医療費である現実を踏まえれば、医療にまつわる経済的負担をいかに最小化するか、国民の健康寿命を延ばしていかに保険利用を抑えるか、その対策がまさに急務となっている。

 そんな中、DeNAがヘルスケア事業に参入したのは2014年8月。瀬川氏によれば「元々はゲーム、そして(保有するプロ野球チームを通じた)スポーツといったエンターテインメントの会社であるため、『楽しく健康になっていただく』ことが大きな事業目標になっている」と話す。

ヘルスケア事業のコンセプト
ヘルスケア事業のコンセプト

 エンターテインメント志向のヘルスケアサービスの1つが「KenCoM(ケンコム)」である。企業の健康保険組合などとの連携によるサービスで、健診データや日常のライフログなどがアプリで管理できるほか、実際の健康状態に応じたアドバイスの提供、チーム単位で楽しめるウォーキング競争プログラムなどを提供している。

 アンケートによれば、KenCoM利用後は運動意識が23%、食事意識が19%向上。また正式な数値は学術機関と共同で検証中とのことだが、KenCoMを利用するだけで生活習慣病リスクが軽減する傾向も確認されたという。

 「こういった数値を出すにあたり、『KenCoMのようなサービスを利用する人はもともと意識が高いから良い結果が出るのは当然』と思われるのでは。私自身もそうだった。ただ、検証中ではあるが意識の高低バイアスも考慮したデータ分析を施した上で、リスク軽減に繋がるとの結果が出てきている。これは本当に嬉しかった」(瀬川氏)

KenCoMの概要
KenCoMの概要
KenCoMの利用によって、生活習慣病リスクが改善するとのエビデンスも
KenCoMの利用によって、生活習慣病リスクが改善するとのエビデンスも

 健康指導のデジタル化と、その結果を確かなエビデンスとして扱うことにより、周辺ビジネスとの連携も開かれつつある。DeNAは2019年2月にメットライフ生命保険と提携。将来的には、KenCoM利用者の保険料を割り引く制度なども模索していくという。

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