メニュー予測は、自動発注も可能にしている。予測によって必要な材料の数量がわかるため、在庫が減ったら自動的にメールやFAXで発注できる仕組みになっている。また日用品や食品の自動購入サービスの開発と運営などを手がけるスマートショッピングと一緒に作った「スマートマット」により、スケールで重さを計り、特定のしきい値を超えたら、1日1回決められた時間に自動でメールやFAXなどで発注するシステムも活用している。今まで人の手で確認、発注してきたが、自動になることで、その分の労働力をほかに割けることになる。
ゑびやでは飲食スペースを減らして、三重の食と工芸のセレクト土産店を設置。ここだけで、年間1億円ほど売り上げているという。ここでもAIを使ったデータ収集が役立っている。
店頭訴求の効果検証として、POSを使えば客単価や購買人数はわかる。しかし買ってくれなかったお客様のデータは入手できずわからない。そのため、画像解析AIによって通行客と入店客の情報を取得するようにした。これにより、入店客率もわかり店頭ディスプレイについても効果測定が可能になる。
たとえば、標準的なディスプレイだと、入店率9.6%、購買率22.6%、客単価は1413円。これを伊勢で馴染みのあるサイダータワーにしたところ、入店率は15.7%と高くなった。しかし店内が混雑していまい、顧客単価は1046円に低下。このことから魅力的なディスプレイにすると入店押上効果はあることがわかる。
そこで、和モダンで少し高級感を出したところ、客単価は1593円にアップ。入店率も13.2%と平均値を大きく上回った。こうした効果測定をもとに、確実に入店率がアップするディスプレイがわかってきたので、ディスプレイに費用をかけても(和モダンの場合222万5000円)1カ月で回収できたという。
また、購買前データと購入データから、購入者は男性より女性が多いことがわかった。これは女性向けの商品が多かったためで、男性向けの商品を開発して販売するといった、商品開発にも役立てている。これらはすべてデータの力によるものだ。
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