筆者は2018年10月、当時の新モデルだった「iPhone XS」と「Galaxy Note9」のカメラを比較検証した。その一環で、夜間に車のテールライトが光の線になっている長時間露光の写真を撮影しようと試みた。その際Galaxy Note9のカメラの「プロモード」を利用してシャッタースピードを遅くし、数枚の写真を撮影したのだが、ISO感度や露出補正を微調整しても望むような結果は得られなかった。iPhone XSの「Live Photos」機能の長時間露光モードを使っても大差ない結果になった。
米国時間2月28日に登場した「iOS」向けアプリ「Spectre Camera」は、3~9秒間に撮影された数百ものショットを組み合わせ、人工知能(AI)を利用しながら長時間露光の写真を撮影できるアプリだ。夜間に走行する車を光の線にしたり、流れる水をシルクのような質感に見せたり、混雑した場所から人々を消したりすることができる。このアプリを開発したのは、写真アプリ「Halide」と同じ開発チームだ。
Spectre Cameraの特筆すべき点は、「Pixel 3」の夜間撮影モード「Night Sight」や「iPhone」などのポートレートモードに使用されているテクノロジに類似したコンピュテーショナルフォトグラフィ技術を採用していることだ。具体的には、このアプリはAIや機械学習(ML)などを利用して、長時間露光、つまりスローシャッターの写真を作り出す。
筆者はSpectre Cameraを数日間使用してみたが、使い方がとてもシンプルなことに感銘を受けた。オプションやツールがありすぎて把握しきれないということがない。光跡や夜間の都市景観、イルミネーションに合わせてモードを自動検出し、切り替えてくれる。最良の機能の1つは、写真が作成されるのをリアルタイムで見られることだ。写真はすべてLive PhotosのJPEGファイルで保存されるので、撮影後に加工が施される過程を見ることができる。
また、スマートフォンのぶれの程度をリアルタイムで示す小型のアイコンがあり、写真撮影時にiPhoneを安定させるのに役立つ視覚的なリマインダーとなっている。
だが長時間露光の写真をシミュレートするアプリはSpectre Cameraだけではない。iOS版の「Adobe Lightroom CC」は、「Technology Preview」の一環として長時間露光モードを備えている。また、iOS向けアプリ「Slow Shutter Cam」は、長時間露光や写真調整のための多数の機能を提供している。
Spectre Cameraのインターフェースは直感的でわかりやすく、タイプフェイスやコントロールは実際のカメラの影響を受けたミニマルなデザインを採用している。Spctre Cameraは2月28日より1.99ドル(日本では240円)で提供が開始されたが、リリース後に値上げを予定している(編集部注:本稿公開時点で日本では360円で販売されている)。Android版が提供されるかどうかは明らかになっていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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