空飛ぶクルマプロジェクトが経産省では“異例”の「週1官僚」を募る理由 - (page 2)

西中悠基 (編集部)2019年03月07日 12時20分
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実現に向けた4つの課題

――実現には、どのような課題があるのでしょうか。

 現在挙げられるのは4点あります。機体などの開発に関わる「技術」、離発着場や安全性、空域などに関わる「インフラ制度」、心理的影響を考慮する「社会受容性」、そして、収益性の見込めるビジネスモデルを構築できる「担い手」です。このうち、技術やインフラ制度については、経済産業省と国土交通省が、それぞれ繋がりのある事業者と調整することができます。

 一方で、社会受容性については、「新しい技術が生まれた場合、そのイノベーションをどのように受け入れていくか」といった点において、政府と国民の間で意思疎通を図れる人材が必要です。これを検討した結果、役所にいる人間ではなく、外部の専門家に依頼すべきではないか、という結論に至りました。

 また、サービスの担い手についても、外部の専門家に任せるべきだと考えています。私たちの反省でもありますが、これまでの日本社会は技術偏重で、開発時に使用者のニーズが鑑みられていませんでした。どの場所でどのようなニーズが生まれるかを考慮して技術開発をすべきで、そのためには求められるサービスを具体的に考える必要があります。空飛ぶクルマの実現において、導入が見込まれる地域との対話が必要となります。しかしながら、地方創成や都市内の移動データを扱ったことがない経済産業省にとっては、得意な分野ではありません。そこはぜひ外部の方に任せたいと考えています。

兼業・副業を日本社会全体に

――今回、兼業・副業限定かつ週1日勤務という条件で募集する理由を教えてください。

 これまでのような週5日勤務の中途募集では、現在のキャリアや生活をリセットすることになります。興味のある採用募集でも、これではハードルが高く、なかなか踏み切れる人は多くないと考えました。そこで週1日勤務とすることで、自らの能力を試したい、キャリアパスに繋げたい人材に、スキルを磨く機会を提供します。経済産業省としても、専門家の知見を受け入れ、政策の向上を図ることで、国益に繋げることができます。

 私はさらに、この週1スタイルを、経済産業省の他プロジェクトや、他省庁へも広げていきたいとも考えています。今後このスタイルが広まり、日本全体が兼業・副業を前向きに捉え、自分のスキルを最も生かせる場所を選べるような社会となることを期待しています。


 現代の日本社会は、適材適所になりきれていないのが問題点です。私は、日本では一度入社すれば終身雇用で、特に大企業では、なかなか自分のやりたいことができない。思いは持っていても生かし切れていない、との仮説を持っています。その思いや知見を外部で生かすことが、日本が元気になる第一歩になります。

 しかしながら、いきなり民間企業同士でやるのでは、産業スパイではないか、といった警戒感が生まれます。それを無色透明である政府が実施するのであれば、「経済産業省で経験を積んでこい」というように、企業からも送り出しやすいのではないかと思います。将来的には官民の壁を取り払って、公務員は公務員、民間は民間という世界から、その中間が生まれるような世界になればいいと考えています。

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