ソフトバンクが考える新規事業開発、3つのポイント

 2月19、20日の2日間に渡って開催した本誌主催イベント「CNET Japan Live 2019 新規事業の創り方--テクノロジが生み出すイノベーションの力」。2日目の基調講演では、ソフトバンクの法人事業統括 デジタルトランスフォーメーション本部 本部長の河西慎太郎氏が登壇した。「通信事業をコアに最先端テクノロジーを活用してさらなる成長を目指す」として、「Beyond Carrier」戦略を掲げ幅広いビジネスカテゴリーにおいて新たな事業をスタートしている同社だが、その基本方針は「0→1は絶対にやらない」ことだと強調した。新規事業開発のポイントは3つだ。

  1. 積極的な投資と先進テクノロジを活用した取り組み
  2. 各業界大手と展開し始めたユニークな共創プロジェクト
  3. 内製にこだわり、パートナーもフラットな視点で決める
ソフトバンク デジタルトランスフォーメーション本部 本部長の河西慎太郎氏
ソフトバンク デジタルトランスフォーメーション本部 本部長の河西慎太郎氏

積極的な投資と先進テクノロジを活用した取り組み

 河西氏は、2017年10月から120名という中規模企業並みの人員でスタートした同部署が手がける重点分野について紹介した。

 中心テーマとなるのは昨今のトレンドとも言えるAI、IoT、ロボティクス、ビッグデータといったテクノロジに関連する分野で、リソースの半分ほどを投資事業であるソフトバンク・ビジョン・ファンドの日本展開に、もう半分をオープンイノベーションに振り向けて、他社と共同で新しい事業を立ち上げることに注力している。

 たとえばソフトバンク・ビジョン・ファンドはすでに、半導体メーカーのArm(アーム)をはじめ、地図プラットフォームを提供する米Mapbox(マップボックス)、インド発のホテル向けプラットフォームOYO(オヨ)、中国のライドシェアサービスDiDi(ディディ)、オンライン診療の平安好医生などに対し、矢継ぎ早に投資を行っている。これら海外のサービスやビジネスモデルを日本国内にも広げていく、というのが現在の同事業部のミッションの1つだ。

 最近では、ソフトバンク・ビジョン・ファンドも投資したBoston Dynamics社の四足歩行ロボット「SpotMini」について、建設現場で活用するための実証実験を大手ゼネコンの竹中工務店やフジタと共同で行っている。地図データを組み合わせて自律歩行を可能にし、現場を巡回して安全点検などを行うという。「事業化はまだ先になる」とのことだが、動画で披露したその動きを見る限りでは、室内の平面移動だけでなく階段の移動も可能になっており、実用化は遠くなさそうに感じられる。

 また、各分野で産業用として活用が始まっているドローンについても、携帯電話基地局などの設備管理に用いるというソフトバンクならではの取り組みを始めている。例えば災害時、基地局やアンテナに故障などの被害が発生することがある。それを確認するには、まず直接目視して修理の必要性を判断しなければならない。ところが、労働人口の減少もあり、全国各地に点在する基地局を保守する人員の確保も難しくなってきている。そこで、基地局などの確認作業をドローンに置き換えようというわけだ。

 ドローンを飛ばして基地局アンテナなどを撮影し、それを3Dモデリング化。さまざまな角度からチェックできるようにし、AIも用いて詳細に分析することで、保守の効率化を目指していく。

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