網膜レベルの超高精細なVR体験--プロ向け「Varjo VR-1」試用レビュー - (page 3)

Scott Stein (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2019年02月26日 07時30分

短所

 Varjo VR-1の視野角はほかの主流VRヘッドセットよりも狭い(87度で、VIVE Proの110度よりも狭い)ので、広大な世界を訪れているというより船の丸窓を通して外を見ているような感じが少しする。だが、Varjoのヘッドセットはそうした幅広いキャンバスと引き換えに、ピクセル密度の高い体験を提供する。Varjoによると、そのトレードオフに納得してくれるユーザーもいるという。しかし、価格を考えると、全くそう思わないユーザーもいるはずだ。

 Varjo VR-1は、驚異的な1度あたり60ピクセル以上の網膜レベルの解像度を、視野角全体で実現することもできない。この解像度が提供されるのはディスプレイの中心部のみだが、ユーザーがまっすぐ見据えている際にほとんどのものはこの範囲内に収まる。ディスプレイのほかの部分の解像度は、デフォルトで1度あたり16ピクセル。これはHTC VIVE Proと同じ解像度だ。さらに、VR-1の視線追跡機能は、ディスプレイの高解像度部分では視線を追跡しない。ユーザーは、あらゆるものが中心にくるように調整しなければならない。筆者はVR-1を使っているうちに、中心部と端の違いは気にならなくなったが、その欠点は厳然として存在する。「Bionic」ディスプレイがもっと大きければ、あるいは、せめて視線追跡が中心部でも機能してくれればいいのだが。

複合現実(MR)がやってくる

 Varjo VR-1は大胆にも、フェースプレートを交換できるという機能も備える。つまり、このヘッドセットはVRだけでなくMRも見据えているということだ。Varjoは2019年夏の発売を目指して、MRアドオンの開発に取り組んでいる。このアドオンによって追加されるセンサにより、VR-1の体験はHoloLensや「Magic Leap」と競合するものになるかもしれない(ただし、価格はVR-1の方がはるかに高価だが)。同ヘッドセットにMRがどのように組み込まれるのかは不明だが、VarjoはVRと同じ87度の視野角でMRを実現することを目指している。Varjoがそれをやってのけることができれば、Magic LeapやHoloLensよりも優れたものになるだろう。

フェースプレートを交換できる
フェースプレートを交換できる
提供:Joshua Goldman/CNET

 このヘッドセットは、VRに求められるものすべてを提供するわけではない。しかし、VRが網膜レベルの品質に到達できることを示しており、それは素晴らしいことだ。いつの日か実際にそれを手頃な価格で家庭で楽しめるようになるまで、辛抱強く待っていよう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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