画期的な決定が下された。ドイツ連邦カルテル庁が現地時間2月7日、Facebookはメインのソーシャルネットワークサービスとそれ以外の関連サービスで収集したユーザーデータを組み合わせる前に、ユーザーの同意を得なければならないとの判断を示したのだ。
同庁は、「WhatsApp」「Instagram」「Facebook Analytics」およびソーシャルボタンなどの関連サービスを利用して、メインのサイトにアクセスしていないユーザーに関するデータを収集し、Facebookアカウントと結び付けることは、テクノロジ企業間の公正な競争のために禁じられるべきだと判断した。
ドイツ連邦カルテル庁によると、Facebookは各サービスを通じてデータの収集を続けてもよいが、ユーザーの明確な同意を得ている場合を除き、そのようにして収集したユーザーデータは、Facebookがすでに所有しているユーザーデータとは別に保管しなければならず、双方を統合してはならないという。
同庁はまたFacebookに対して、ユーザーがメインサイト外で活動が追跡されることに同意しなければサービスへのアクセスを拒否することも禁じた。
ドイツ連邦カルテル庁のAndreas Mundt長官は、7日の報道発表で次のように述べた。「今後、Facebookが同ネットワーク外で事実上無制限にデータを収集して、そのデータをFacebookのユーザーアカウントにひも付けることに同意するようユーザーに強制することは、もう許されなくなる」
「Facebookが個々のユーザーについて他社には真似のできないデータベースを構築して、市場での力を得られたという事実には、データソースの連携が大きく寄与している」(Mundt長官)
ドイツ連邦カルテル庁は調査結果のほか、Facebookが長年にわたって無制限のユーザーデータを収集することで競争上の優位性を増大し、市場で他社に覆されることのないような支配的な地位を確立してきたことを詳細に示す報告書を公開した。
この報告書は、Facebookによるユーザーデータ収集の慣行について、同庁が実施した約3年に及ぶ調査の成果だ。調査は2016年3月に開始した。
Facebookは7日、次のように述べた。「当社は3年近く、ドイツ連邦カルテル庁と協力しており、今後も協議を続けるが、今回の結論には同意できない。ドイツの人々が今後も当社のサービスから十分なメリットを得られるよう、不服を申し立てるつもりだ」
Facebookは、この件でドイツ連邦カルテル庁は同国の反競争法を悪用したと主張している。Facebookのデータ収集慣行は独占禁止法ではなく、プライバシー法および新たな欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)に基づいて判断すべきものだとしている。
また同社は、「人気があるからといって独占的ということにはならない」と述べ、Facebookはソーシャルネットワークの1つであり、多様な機能によってあらゆる種類のサービス各社と直接競争関係にあるとした。
Facebookは、今回の判断に対して1カ月以内にドイツの裁判所に不服を申し立てることができる。ドイツ連邦カルテル庁による決定は、現時点ではまだ法的拘束力はない。同庁はFacebookに対し、調査で明らかになった問題に対処するための「実行計画」を提示するよう求めている。
報告書によると、Facebookがこの決定に従わなければ、「何らかの強制措置によってドイツ連邦カルテル庁の決定を法的に執行することもありうる」という。
「そうした強制措置としては、制裁金(年間売上高の最大10%)や、一定の間隔(月に1回など)で定期的に課す罰金(1回ごとに最大1000万ユーロ:約12億4500万円)を支払わせる可能性などがある」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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