Facebookが、ユーザーの活動情報を入手するために使っていたデータ収集アプリをめぐり、Appleとの間で問題に突き当たった。Facebookの他のアプリの社内テストにも支障が生じる可能性がある。
Facebookは、13~35歳のユーザーに1カ月あたり最大20ドル(約2200円)と紹介料を支払い、「Facebook Research」アプリをダウンロードさせていた。このアプリは市場調査の一環として、ユーザーのスマートフォンやウェブ上の活動情報に、同社がアクセスできるようにするものだった。このソフトウェアを通じて、Facebookはウェブ検索、位置データ、プライベートメッセージを含む、ユーザーのデータにアクセスすることが可能だった。
これを受けAppleは米国時間1月30日、Facebook Researchアプリの「iPhone」ユーザーへの提供をブロックした。Facebookは、企業が社内テスト用のアプリを開発できるようにするためのプログラムを利用することで、一般利用者向けのアプリに対するAppleの審査プロセスをかいくぐっていた。
Appleは電子メールによる声明で「当社の『Enterprise Developer Program』は、社内向けのアプリを社員に配布するために設けられた仕組みだ」と述べ、Facebookがプログラムを利用して一般利用者にアプリを提供したとして、ユーザーとそのデータを保護するためにFacebookの同プログラムの登録を取り消したと説明した。
The New York Times(NYT)は、登録の取り消しによってFacebookは社内向けのiOSアプリを社員にまったく配布できなくなると指摘する。これは、「Facebook」「Instagram」「Messenger」アプリのアップデートに対するベータ版や、一部の従業員用アプリが使えなくなることを意味すると、NYTは事情に詳しい匿名情報筋の話として報じている。
AppleとFacebookは、これまでにも衝突を繰り返している。FacebookがCambridge Analyticaのデータ不正使用疑惑などで低下した信頼の回復に追われる中、Appleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏は「適切に作成された」規則がおそらく必要だろうと発言している。
Facebook Researchアプリの存在について報じたTechCrunchによると、Facebookはすでに同アプリのiPhoneユーザーに対する提供を停止することを明らかにしている。「Android」ユーザーはFacebook Researchアプリを今後も使用できるのかという問い合わせに対し、同社から直ちに回答は得られなかった。
Facebookは声明で、データを第三者と共有しておらず、ユーザーはいつでも好きな時にやめることができると述べた。
「この市場調査プログラムの重要な点が見逃されている。当初の報道とは異なり、これについて『秘密』にされていたことは何もない。文字通り、Facebook Researchという名称のアプリだった」と、広報担当者は述べた。
Facebookは、このプログラムがユーザーを監視しているという指摘についても反論した。
「利用者全員から参加手続きを通じて明確な同意を受けており、報酬も支払っている。ユーザーを『監視』していたことにはならない」
「この市場調査プログラムに参加することを選択したユーザーのうち、10代は5%にも満たない。その全員について、保護者に同意書に署名してもらっている」とも、広報担当者は述べている。
これまでの報道では、このアプリがFacebookの「Onavo Protect」アプリに似ていると指摘されている。Appleは以前、同社のプライバシー規則に違反するとして、Onavo Protectを禁止した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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