プレミアムインタビュー

メルカリが「米国」にこだわり続ける理由--山田会長に聞く事業戦略 - (page 2)

 我々のビジネスには「決済」と「物流」という2つの要素が必要で、アジアでやるにはちょっとジャンプが必要なところがあります。また、マーケットという意味でも、韓国や台湾など人口が少ない国もありますので、まずはeBayなどのオークションが成り立つような、中古や二次流通のマーケットが大きくて、決済や物流もしっかりしているところから展開し、将来的にいろいろな国にそのノウハウを生かしていくという戦略で考えています。

 あと、やはり米国で成功できればグローバルなブランドとして認知されるはずなので、それ自体がどこの国に行くにしても大きいかなと思っていて、まずはUSに集中しているということですね。

ーー少し話が変わりますが、メルカリやスマートニュース、ユーザベースなど、海外に拠点を設けてグローバル化を進める日本のインターネット企業は少しずつ増えていますが、まだ多いとは言えません。

 過去を振り返ってみると、自動車メーカーや電気メーカーもグローバル展開をしてきたので、海外に出ること自体がそこまで大変というか、特別なことではないと思っています。ですが、やはりインターネットサービスだとなかなか行けていないという現実があるので、そこで(メルカリが)先鞭をつけることができれば一番いいかなと思っています。

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 僕は単純に試行回数というか、いろいろな会社がもっと(世界を)目指せば全然変わってくるのかなと思っています。結局のところスタートアップって確率論的なところもあるので、目指す会社が増えれば成功する会社も増えてくると思いますし、本当は海外に出ればうまくいくのに、それを躊躇している会社もまだあると思うので、1社、2社と成功事例が出てくれば「じゃあうちも」という会社も出てくると思います。

ーーまずは日本でしっかりと地盤を固めてから海外に出るという考えのインターネット企業が多いように感じます。

 そうですね。ただ、それも合理的といえば合理的だと思っています。日本市場はすごく大きいですし、海外なんて上手くいくかどうかも分からない中で、国内に集中しちゃうというのはあるのかなと思っていて。

 逆にイスラエルや韓国などは国内市場が小さいので、外に向かいやすいのかなと思います。昔の日本もそうだと思うんですよね。国内市場だけだと小さいので海外に目を向けて、それによって経済成長したがゆえに、国内市場だけでも結構いいビジネスが作れるようになってしまった、みたいなところはあると思います。

決済事業「メルペイ」で実現したいこと

ーー国内向けの事業に話を戻しますが、現在開発中の決済サービス「メルペイ」で実現したいことは何でしょうか。また、サービスの発表から時間が経っていますが、リリースの時期は。

 やりたいこととしては、いまはメルカリの売上金が利用者の銀行に振り込まれて、それを現金として引き出して、お店で支払うみたいなステップになっているのですが、それを直接カフェやコンビニで使えたらすごく便利ですよねというところからきています。

 よくLINE PayやPayPayと比べられるんですけれども、別のものかなと思っています。(メルペイを)メルカリのお客様に使っていただいて、そのお客様に満足していただければ、もっとメルカリで物を売るということも起こるだろうし、口コミでメルカリやメルペイのお客様も増えていくのではないか、というところから始まっているので。

 やはり金融事業なので、免許なども含めてセキュリティやコンプライアンスに関していろいろとやることがあり、会社を設立してから1年ほど経っていますが、(2019年6月期)下半期の6月末までにはリリースしたいと思っています。まだ詳しいことは言えませんが、最終的にはお客様に満足していただけるかどうかだと思っていて、そこの質みたいなところはすごく高まっているのではないかと思います。

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ーー山田さんは、2018年12月の「PayPay祭り」をどう見ていますか。

 キャッシュレスのある種のムーブメントというか、(世の中が)そっちに向かっていきそうだなというきっかけを作っていただけたのかなと思うので、そこはすごくありがたかったですね。LINEさんも「ライバルは現金」と言っていますが、我々もご一緒できる部分はしていきたいと思っています。

ーースマートグラスに最適化したフリマアプリ「メルカリ」の実証実験なども開始していますが、今後メルカリはサービスとしてどのように進化していくのでしょう。

 いろいろな方向性があると思うのですが、我々は今すごくAIに力を入れています。これまでも、AIを使うことで出品時に自動的に説明文を埋めたり、値段を推定したりする機能を提供していて、それによって出品完了率や売却率も上がっています。細かいところも含めればAIで大量に改善できているのかなと思います。

 テクノロジーによってより簡単に商品を出品できて、それを簡単に購入できるみたいなところをさらに良くできるのではないかという感覚がすごくあるので、引き続き“AIのサービス会社”を目指しながら、メルカリをどんどん使いやすくしていきたいですね。

※第2回「組織編」は1月29日(火)に掲載

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