Microsoftはこの1年間、「Cortana」はスタンドアロンのデジタルアシスタントから、助手のような役割を担うものへと位置づけを変えようとしてきた。それでも、私たちがこれまで見てきたように、CortanaがAmazonの「Alexa」や「Google Assistant」、Appleの「Siri」のようなスタンドアロンのアシスタントではなく、アプリあるいはスキルとなっていくということを最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏が公に認めたのは、先週が初めてだった。
Nadella氏は先週、Microsoftのキャンパスで一部のジャーナリストに対し講演した。招待者の1人が書き起こした内容のおかげで、コンシューマー分野におけるMicrosoftの取り組みについて、Nadella氏に質問が投げかけられたことがわかった。
同氏は参加者に向け、「Microsoftで私が1つ感じるのは、ただソフトウェア企業だというだけですべての分野に参入しようと言って、たくさん間違いを犯したということだ」と述べた。「大きなTAM(Total Addressable Market)が存在するため、そうすることが賢明な場合もあるが、同時に何か他と異なるものを提供できなければ、大抵は失敗する」(Nadella氏)
さらに同氏はスピーカについて、Microsoftが一歩下がって「この分野で他にないものになるように、われわれにできることは何か」と問わなければならない例だと述べた(Microsoftは、「Echo」に似た独自のスピーカのようなものを用意していると憶測されていたが、同社がそれを提供するのであれば、「Build 2018」で披露したビジネス向けのデバイスの方が理にかなっていると筆者は思っていた)。
Nadella氏はさらに、コンシューマー向けのスピーカを開発するのではなく、「例えばCortanaを、Alexaを使っているユーザーが呼び出せる有益なスキルにした方がよいのか。それともAlexaと競争しようとするべきなのか。われわれは、前者を実行しようと決めた。Cortanaは、すべての『Microsoft 365』ユーザーのためのスキルである必要があるためだ。Google AssistantでもAlexaでも、『Android』や『iOS』で当社のアプリを使用するのと同じように使えるようにしなければならない。Cortanaの方向性として、少なくともそのようにしたいと考えている」と述べた。
これまでMicrosoftは、AlexaとCortanaに関してAmazonと連携しているが、GoogleとはCortanaをGoogle Assistantと相互連携させるといった提携は実現していない。
また現在、Microsoft 365に登録していなくてもCortanaが使用できる。しかし、MicrosoftがCortanaを「Outlook」や「To-Do」などの生産性を重視した機能に統合していることを考えると、狙いはそこにあるのかもしれない。そうだとすれば、準備中だと報道されていたコンシューマー向け「Microsoft 365」のようなサービスが、Cortanaをサブスクリプションにひもづけるための1つの手段になる可能性も考えられるかもしれない。
ビジネス向けには、Cortanaよりも「仮想アシスタントソリューションアクセラレータ」を強化し、独自のカスタムブランドのアシスタントを自社アプリやサービスに組み込めるよう、BMWやLG Electronicsなどの企業に提供している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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