1月8日~1月14日のAppleに関連するCNET Japanのニュースをまとめた「今週のAppleニュース一気読み」。
AppleはCESに出展こそしなかったが、一定の存在感を見せた。Samsung、Sony、LG、Vizioといったスマートテレビメーカー各社が、相次いでAppleのAirPlay 2やiTunes Movie & TV Showに対応した新モデルを披露した。
また、過去のモデルもこれらに対応するアップデートが配信される。例えばSamsungは2018年モデルから、Vizioは2016年モデル以降のスマートテレビで、AirPlay 2とiTunesをサポートすることが分かった。
AirPlay 2はiOSやmacOSがサポートする、オーディオやビデオを他のデバイスに転送して再生する技術だ。長らく存在してきたが、新たなバージョンでは再生までの時間の大幅な短縮、低遅延や複数のスピーカーへの同時配信などの新しい機能が利用できるようになった。
これまで、AirPlay 2に対応するスピーカーは多数登場してきた。しかし映像機器でApple TV以外の他社デバイスがAirPlay 2をサポートするようになるのは初めてのことだ。これによって、Apple TVがなくても、薄型テレビにiPhoneの映像を転送できるようになる。
AirPlay 2以上に意外だったのが、iTunesへの対応だ。iTunesで配信される映画やドラマを、スマートテレビから直接購入したり、レンタルしたりして楽しめるようになる。やはりこちらも、Apple TVがなければ楽しめなかった体験であり、ユーザーはApple TV以外の選択肢が増える。
この点は、Apple TVの売上高に影響を与える一方で、コンテンツサービスからみれば、Apple TVというネックを解消することにもつながる。Appleの決算のカテゴリで言えば、2019年から新たに「ホーム」カテゴリに属するApple TVの売上高を多少犠牲にしてでも、Appleが力を入れる「サービス」の売上の最大化を狙った戦略ともとれる。
別の見方をすると、Appleの映像サービスの立ち上げが近いことも考えられる。スマートテレビでは、すでにYouTube、Netflix、Amazon Prime Video、Huluといったストリーミングサービスに対応している。Apple TVがなければ楽しめないAppleのサービスよりも、より身近な存在となっていた。
新サービス開始前にそうしたハードルを解消し、環境整備を行っているとも考えられるだろう。
サムスンのスマートテレビ、アップル「iTunes Movies and TV Show」と「AirPlay 2」に対応へ(1/7)Appleの2018年11月1日の決算発表、そして2019年1月2日の利益警告は、Appleのみならず、株式市場全体に対する冬の嵐となった。1年かけて上昇してきた株価を一挙に巻き戻すには十分なショックだった。
そのApple自身は、潤沢な手元資金や研究開発を重ねている資産によって、今すぐどうこうなるわけではないことは、多くの人にとっても分かる通りだ。しかし、その周辺にあるサプライヤーにとっては、Appleが台数によるビジネスから離脱しつつある中で、依然として台数が重要なビジネスを維持しなければならない現状からの脱却は、相当厳しいものになるだろう。
Appleが利益警告を出さなければならなかったほど、中国の事情が激変しているとすれば、米中貿易戦争の複合的な要因がまず頭に浮かぶ。米国による関税が、実際の需給や心理面を含めて、中国経済の先行きを相当不安な景色へと作り替えていることは容易に想像できる。
米中の争いについて、Tim Cook氏はこれまで一貫して「楽観視」を崩さなかった。米中の交渉が上手くいくという楽観視だけならよいが、これによる中国経済への打撃についても楽観視していたとすれば、今回の利益警告を出さざるを得なかった背景も透けてくる。
AppleのiPhone偏重からの脱却は、2019年の大きなテーマとなった。他の製品カテゴリに力を入れることもできるし、サービス部門で大きな動きを見せることもできる。あるいは、その他のデバイスを「ホーム」「ウェアラブル」に分解したことから、これらのカテゴリにフィットする製品を投入することだって可能だ。
しかし、Tim Cook CEOの体制の下で、iPhone、iPad、MacといったJobs時代に生み出された製品と並ぶような新たなカテゴリを生み出せるかどうかに、投資家や消費者は期待している。
業績下方修正はアップルの終焉か、新たな時代の幕開けか(1/11)CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」