2018年も、Appleのニュースの定点観測連載「Appleニュース一気読み」をご愛読いただきましてありがとうございました。
1年間を通じてAppleのニュースを追いかけていくと、
などが明らかになってくる。
Appleはテクノロジーのトレンドの牽引役としての役割も担ってきた。年明け直後のデジタルウェルネスの問題、春のプライバシー問題、春・秋の発表会で明らかにした気候変動や資源問題への取り組みの進捗、11月の決算で示した来年以降の弱気の見通しだった。
特に筆者が今年驚かされたのは、2018年10月に発表したMacBook AirとMac miniが、再生アルミニウムで作られたという点。最も販売台数が伸びそうなMacに対して、よりコストのかさむリサイクル素材を用いたAppleの本気度が明らかになった。
また、9月のiPhone発表スペシャルイベントでは、iOS 12で過去のデバイスを高速化する点を指摘し、「長持ち」(Long Lasting)をiPhoneの性能紹介に加えたことだ。それと呼応するように、Appleは2018年第4四半期決算で、2019年以降iPhoneをはじめとする個別の製品の販売台数を公表しないことも明らかにした。
これまで2億台程度の販売台数を維持してきたiPhoneは、今後販売台数が増えない、もしくは減少していく。いよいよサービス部門へのビジネスモデル転換に、自らそのタイムリミットを切ったような宣言とも受け取れる。
2018年のApple製品のラインアップを振り返り、まず筆者が自分で手に入れたものから紹介していきたいと思う。その後、手に入れなかった製品も含めて振り返っていこう。
筆者は2018年、実際に購入したApple製品は少なかった。その少ない製品の1つには、毎年買い換えていたiPhoneがあった。
5.5インチから6.5インチへと画面サイズが拡大したiPhone XS Maxは、スマートフォンで行うことが増え続けている筆者にとっては非常に良いアップデートだった。シックなゴールドカラーも気に入っている要素の1つだ。
しかし同じタイミングでiPhone XRが登場していたら、iPhone XS Maxを選んでいなかった可能性が高い。シングルカメラでポートレートモードを実現できる点は、ズームレンズより単焦点レンズを好む筆者にとって選ぶべき製品だったかもしれない。
iPhone XSシリーズ、iPhone XRには、それぞれにTrueDepthカメラ、高速化された背面カメラセンサー、そしてA12 Bionicプロセッサーが内蔵され、秒間5兆回という処理性能を誇る機械学習処理向けのニューラルエンジンが備わっている。
Appleはカメラを進化させる際に、センサーやISPだけでなく、このニューラルエンジンの性能を生かすようになってきた。その恩恵を一番受けているのがiPhone XRのシングルカメラ、というわけだ。
センサー、ソフトウェア、アルゴリズムを連携させて1枚の写真を作り上げるまでに1兆回もの処理を行うという。単なる光学的な写真とはもう言えず、コンピューテッドカメラ(Computed Camera)というべき存在となった。
Google Pixel 3にも、Pixel Visual Coreと言われる画像処理用のチップが搭載されており、よりアグレッシブなコンピューテッドカメラの機能を追求している。Appleもシーンごとに自動的にフィルターを変えるなどの処理を行っているという。
今後AppleもGoogleも、機械学習処理を生かした機能を、カメラ以外に拡げていくことになるはずだ。そのとき、Appleはプライバシーの保護というハードルを自ら設けており、端末内でいかに完結させるかを追求していくことになるだろう。
Apple Watchはすでにロレックスを追い抜き、「腕時計」として先で最も売上高を上げるブランドとなった。2018年は新デザインへと切り替わったが、それでも頑なに、クラシカルな腕時計を彷彿とさせる丸いも事案を採用しなかった。既存の腕時計と異なる存在であることアピールする点は、成功しているApple Watchの戦略の一部だったのかもしれない。
Apple WatchはiPhoneとともに年次アップデートしている製品だ。米国でApple Watch Series 4を使っている筆者は、12月のアップデートでついに心電図機能を利用できるようになった。
筆者も家族に不整脈がおり、個人的にも心配している症状の1つだった。日常的に心電図を取るようにしていると、だんだん心臓が「ドキドキしている」とか、「ズキズキする」といったときに何が起きえているのかが分かるようになってくる。
もちろん、今すぐ症状を知りたい人にも有効だが、心臓のことをより理解したり、意識を向けるようになることにもまた、メリットが大きかったのではないか、と感じている。
Apple Watch Series 4の魅力は画面の拡大やよりよい通話環境の確保なども挙げられるが、やはり心電図機能は外せない要素だ。ただ、こうした医療機器への認可は、日本では少なくとも3〜5年がかかるという。
Appleがいつから心電図機能について日本で動いているのかは知らないが、いずれにしても日本で使えるようになるまでには相当の時間がかかりそうだ。
これまで、Appleを含むあらゆるメーカーの製品で、全く同じものを購入したことはなかった。何らかの機能やデザインの向上を待って購入しようとしていたからだ。しかしAirPodsは、2016年秋に登場してから2年が経過しているにもかかわらず、結局筆者は同じものを新調することになった。
AirPodsを再び購入した理由は、2年経過した最初のAirPodsの電池が持たなくなってしまったからだ。5時間と言われている持続時間が1時間程度になってしまい、音楽を聴くにも電話会議をするにも不便になってきた。
もちろん、他の選択肢も存在しはじめていた。Boseの完全ワイヤレスヘッドフォンも気になっていた。しかしiPhone、iPad、Macと複数のデバイスを同時に使い、接続先を切り替えながらAirPodsを使ってきた筆者にとっては、AirPods以上の操作性を実現してくれる製品はまだ存在していなかったのだ。
AppleはAirPods向けにワイヤレスチップW1を用意し、2016年の発売のタイミングから、iPhoneなどのAppleデバイスとの間で、左右独立した通信を実現していた。
Appleによると、「左右どちらかを親機にする、という考え方ではない」ということからも、左右それぞれが独立して通信していることがわかる。この技術は、Qualcommが2018年になって「TrueWireless Stereo Plus」という規格で追いついたもので、Appleは自社開発のシリコンチップによって、2年分の技術的なアドバンテージを手にしていたことが分かる。
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