logo

美少女ゲーム業界の敏腕キュレーターが語る--クラウドファンディング国内最高1.3億円超えの舞台裏 - (page 3)

佐藤和也 (編集部)2018年12月05日 16時00分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

イベント化とライブ感、動画配信の必要性

ーー先ほどイベント化という言葉が出てきましたけれども、ご自身のプロジェクトではネットでの生配信を多用していて、ファンと一緒に盛り上がろうという雰囲気を作り出しているように思います。

 僕が手掛けているプロジェクトであればイベント化、そしていかにライブ感を出すかも考えます。そして、クラウドファンディングと動画配信は切っても切れないものだと、僕はとらえています。

プロジェクト中の生配信より。ファンとのやり取りを頻繁に行っていた
プロジェクト中の生配信より。ファンとのやり取りを頻繁に行っていた

 それはプロジェクト開始前のリターンを決める準備段階から必要だと思っています。そもそも起案者側が「これを提供したら支援者は喜ぶに違いない」と考えたものは、大抵外します。そこまでマーケティングができている人はいません。だったらファンに「リターンはこういうものを考えているけど、どう?みんなは何がいいの?」とストレートに聞いたほうが早い。そこで議論するのもライブ感があって楽しいですし、お互いの関係を構築して、プロジェクトの土壌とするのもテクニックのひとつです。一緒になって考えてくれるファンは、絶対に支援してくれますから。

ーーCAMPFIREだと、生配信中に支援があると、メッセージとともに表示されるシステムがあります。

 Fireballですね。あれはいいシステムで、共感を得られるし、共通する支援者の可視化にもなります。起案者がコメントを読み上げてくれると、支援者のテンションも上がりますし、盛り上がりの一要素にはなります。

コメントが配信中の番組に表示されるFireball
コメントが配信中の番組に表示されるFireball

ーーこれまでさまざまなプロジェクトを手掛けられたかと思いますが、振り返ってみて特に大変だったプロジェクトはなんでしょうか。

 正直に言ってどれも大変で、楽だったものはなかったというのが答えです。とはいえ、基本的にキュレーターはムード作りと交通整理で、プロジェクトが開始してしまえば、僕の仕事はほぼ終わり。あとは起案者に「気を付けながら、支援者とともにプロジェクトを進めていってください」と伝えて見守るだけです。逆に言うと、起案者側にとってはプロジェクトページを公開するまでが本当に大変で、そこが勝負所なのです。

 ファンやターゲットとなる方に対してきちんと説明をし、議論を行い、理解を得てプロジェクト公開日を決め、そこに向けて盛り上げていくと。その準備を行っていくなかで、できることできないことが見えてきます。そこを見極めてお互いが納得できる落としどころが見いだせれば、支援する側もされる側も共通の認識を持って臨めるので、いいプロジェクトになります。

 ある意味、9割はプロジェクト公開前に決まるぐらいのつもりで臨みます。残りの1割で200%や300%に持っていく要素を考える、あるいはそれに準ずる奇跡的なことが起きると。逆に事前の準備をおろそかにすると、わずかな奇跡に頼るしかないです。

ーーbambooさんが手掛けられたプロジェクトは、比較的早い段階でサクセスする印象があります。

 プロジェクトによりけりですが、僕が手掛けるプロジェクトはオープンから1日、遅くとも3日間で100%まで到達するように設定しています。そのタイミングでサクセスできたら、ストレッチゴールが狙えますから。それがロマンの提供につながるんです。キュレーターの仕事としては100%到達は当然として、いかに200%や300%まで持っていくのが、腕の見せどころだと考えています。1000万円必要だとされたプロジェクトで2000万円集まったとしたならば、資金的な悩みがほぼ解消されるし、その分をリターンに費やしてもいいわけで。支援者も喜ぶことになり、双方が幸せになれる。そこがクラウドファンディングの醍醐味ですよ。

自分がやりたいことに対して、自分で賭けられないのはダメ

ーーbambooさんが思うキュレーターの役割とはなんでしょうか。

 「交通整理」ですね。そして、支援者であるファンと起案者を深く結びつけるようにすることが大事だと考えています。

 例えば知名度はあるけど、動員に伸び悩んでいるアーティスト、やりたいことの資金調達に結び付けることに苦慮しているというような、いろんなケースがあると思うのですが、大半はボタンの掛け違いが多い。ファンの望んでいることに対して、何をしていいのかがわからない、あるいはやろうとしていることの説明や意図がうまく伝わっていないことが多いんです。そこを交通整理という形で整備して、クラウドファンディングを使って、起案者と支援者の関係を強固にしていこうという考え方なんです。

 クラウドファンディングはまだまだ新しいものです。ITの世界でもてはやされているようですけど、クラウドファンディング自体が何かをしてくれるわけではない。起案者がやりたいことの決済方法として存在するものであって、キュレーターとしてうまく使う方法を、今もなお模索し続けています。

ーー他社の案件を手掛けるにあたって、bambooさんが相手に望むことはありますか。

 全員に必ず聞くことは「自分がプロジェクトに対してどれだけベットできるか(賭けられるか)」です。自分がやりたいことに対して、自分がベットして、それでも足りない部分があるからクラウドファンディングで……というならわかるのですが、全部まかなってほしいという前提なのはどうなんだろうと。自分でベットしないのはダメですよ。今回のMUSICA!にしても、事前に2000万円の制作資金を準備していました。クラウドファンディングの成否を問わず、絶対に開発するつもりでいたので。

 仮に500万円の自己資金を出せるとして、やりたいことに1000万円かかるとします。1000万円集めるよりも500万円集めることのほうが難易度は下がりますし、場合によってはプロジェクトも豊かなものになったり、その500万円も取り戻したりできるでしょう。ただ「お金を出してください」ではだめで、「自分も出しているから」なら共同出資になるじゃないですか。そこはとても大事で、何かするのであれば支援者と同じ条件、関係値にならないとだめかなと思います。支援者にとっては、その心意気の部分も大きいと思うのです。

ーーこれまで手掛けたなかで、クラウドファンディングへの挑戦で不安がる起案者もいらっしゃったかと思いますが、そのあたりはいかがでしょう。

 やっぱり慎重になるし、だいたいが不安になります。なかには、失敗したら死ぬぐらいに考えすぎた方もいました。でも死ぬわけではないし、失敗したらどこがダメだったのかを分析して、支援者と対話を続ければいいだけです。システム上、All-or-Nothing方式であれば支援者もお金を払うわけではないので。

 それこそツインスティックのプロジェクトがいい例ですよ。最終的に叶えたら勝ちです。やってきた準備は無駄じゃないし、研究材料になりますから。それをしない人が本当に多いんですよ。自分が見てもいい企画なのに、準備せずつまずく人、それであきらめてしまう人が多くて。それは悲しいですよね。プラットフォーム側も、そこをケアする仕組みがないとと感じます。

ーー不安がる起案者に対してはどう接していますか。

 「大丈夫だよ。日本で一番クラウドファンディングをやっている俺が付いているだから間違いねーよ」って発破をかけます。だって大丈夫と言ってくれる人がいないと、一緒に戦っている意味がないじゃないですか。だからどんな状況になっても言い続けますよ。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]