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美少女ゲーム業界の敏腕キュレーターが語る--クラウドファンディング国内最高1.3億円超えの舞台裏 - (page 4)

佐藤和也 (編集部)2018年12月05日 16時00分
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熱量でいろんな人を動かした好例のセンチ20周年プロジェクト

ーー直近のセンチ20周年プロジェクトはいかがだったでしょうか。このプロジェクトも10分足らずで目標額の1000万円を集めてサクセスし、最終的には347%(※3470万1700円)となりました。一方でプロジェクト開始が一旦延期になるなど、大変なことも多かったと伺ってます。

 センチ20周年プロジェクトは、そもそも権利元ではなく演者さんたち(※ヒロイン役の声優陣であるSGガールズ)が発案したプロジェクトで、自らが所属事務所や関係各所を説得して、さらに自分たちでネット配信を行ってファンとの対話を続けて進めていったものです。ファンとの議論も矢面に立って対話を続けて、きちんと説明を続けたんですね。本来であれば演者側がやらないことまで全部やって乗り越えたものなので、それもひとつのドラマですよ。

 大変だったのは、ちょっと行き違いがあって炎上しかけたことがあったのです。リターン案として事前に提案したものが、あくまでも案だったのですけど、ファンにとって決定しているものと受け止められたようで、説明不足があったと。そこを理解してもらうことに時間がかかったところはあります。

 演者さんたちは20周年イベントを実現したいし、ファンの方はそれこそ20年待っていたから願いをかなえてあげたいという気持ちが強い。目的は一緒でも、方法論や話し合いのなかで勘違いが生じたので、あるべき道に戻す交通整理の役割を担ったと。ファンコミュニティの場で僕から説明しました。最終的には応援ムードになったので、対話と議論が大事だというところですね。

ーー開始時の生配信を見て支援もしましたけど、達成したときにみなさんが喋れなくなるぐらいに泣きながら喜んでいて。それを見ていても、相当にかけてきたものがあったということが伝わりました。

 振り返って見るとこのプロジェクトは、ムードとドラマが飛びぬけて良かった。コンテンツにパワーがあって、熱量を持っている人たちというのは必ずいるはずなんです。そこに対して熱量を持って問いかけ続けて、かっこ悪くても泥臭いことまでやって身をもってアピールしていかないと、人は耳を傾けてくれないし、支援しようという気持ちにもなれないでしょうと。演者さんたちの熱量が、クラウドファンディングを使っていろんな人を動かした好例だと思います。

ボロクソに文句を言ったら顧問になった

ーークラウドファンディングを取り組むなかで、CAMPFIREの顧問に就任しましたが、どういう経緯があったのでしょうか。

 アニソン業界の飲み会があったときに、当時で累計1億円以上を調達していたこともあって、クラウドファンディングのメリットも語りつつ、でも当時は手数料が20%もかかっていて使いにくさも感じていたので、文句も言っていたんです。そうしたら、そのなかにたまたま当時のCAMPFIRE執行役員がいて。でもプロジェクトもそれなりに出していたから、言う権利はあるだろうと思って言い続けていたら、家入さん(※CAMPFIRE代表取締役社長の家入一真氏)に会うことになったんです。それで家入さんに対しても、ボロクソというぐらいに文句を言ったら「顧問になってください」と。何を言っているんだろうと思いました(笑)。

 ゲーム開発費を資金調達する最終的な目標があったので、国内でクラウドファンディングの情報が一番集まる場所ではあるし、ゲームやアニメ、音楽以外の案件も含めて勉強になると思って引き受けたんです。今はゲーム、アニメ、音楽ジャンルのスペシャリストとして、大型から小型の案件まで手掛けているほか、案件に対する相談も行っています。

ーーCAMPFIREのスタッフの方を見てどのように思いますか。

 いろいろ頑張っているとは思いますが、自分でプロジェクトを立てたことのあるスタッフが少ないことは気になっています。いわゆる0から1にできる人ですね。あと過去の案件の統計から見たアドバイスはできるのですけど、そこから一歩踏み込んだところまで接する人も少ないかなと。事務的に進めてしまう部分もあるかと思うのですけど、僕は必要であれば起案者であっても大ゲンカするし、支援者と起案者の権利を守るために、プラットフォーム側と喧嘩することもあるので。

 こと音楽関係に関して言えば、ステージに立っている人たちではないわけですから、アーティストや演者としての見せ方や見え方に気を配ったプロジェクトのキュレーションを進められる人は、CAMPFIRE以外も含めてあまりいないんじゃないかなと。それゆえに、これまで自分のやってきた特異な立場が、役に立ってるという実感はありますね。

ーー以前に比べれば、著名人や大手企業が活用したこともあって、クラウドファンディングの認知度も上がっているように思いますが、いかがでしょうか。

 いや、全然ですよ。ちょっと前のヤフオク、今のメルカリぐらいに有名で、誰もが利用しているぐらいの市場にならないとダメだと思っていて、まだまだ小さい。でも、欧米の市場に比べて10分の1ぐらいですから、伸びしろはあるとも思ってます。

 とはいえ、日本は人口もそうですけど国民性の違いもあって難しいところもあると。海外は寄付文化が発達しているので気軽に支援しますが、日本は浪花節ですから。きちんとドラマがあって、ここまで頑張ったけどもう少し足りないから支援してほしいというストーリーが提示できないと、プロジェクトは成立しにくい。たまたまうまくいくものもあると思いますけど、それは何度も続かないです。

 国内でクラウドファンディングが本格的に立ち上がって6、7年ぐらいですから、まだまだこれから楽しい使い方、意外な使い方も発生していくと思うんですよ。今のクラウドファンディングのシステム自体信用していないというか、5年後ぐらいにでも、今のをベースに全く新しいシステムが生まれる可能性があると思ってます。

ーー国内プラットフォームについてはいかがでしょうか。5年前と比べて新しく立ち上がったところもあると思います。

 それぞれに特色が出てきていると思いますが、Makuakeさんは存在感を示していますよね。ガジェット系が多い印象はあって、ブランディングもしっかりしていますし、1億円クラスの調達案件が複数出しているようなプラットフォームですから。そこで挑戦したい気持ちもありますので、関係者の方がご覧になっていたら連絡ください(笑)。

 一方のCAMPFIREは、プロジェクトの成否は市場や支援者が決めるものというスタンスなので、掲載プロジェクトが玉石混淆ですね。それもひとつの形だと思います。そもそもクラウドファンディングを有名にしたかったら、コンビニでバイトしている兄ちゃんが面白いことを思いついて、クラウドファンディングを足掛かりに一攫千金を勝ち取って芸能週刊誌に載るぐらい、俗っぽくならないと。それぐらい魑魅魍魎、有象無象の状態にならないと面白くないし、人もつかないんじゃないかなと。

ーー手数料についてはいかがでしょうか。以前も20%は高いと話されていて、CAMPFIREも一時期は下げていましたが、近い水準(掲載時点では12%プラス決済手数料5%)に戻っています。

 決済手数料含めて17~20%が現在の相場ですよね。まだまだ高すぎるし、今でも決済手数料は別にしたとしても10%以下が理想だと思います。でもそれを維持するのには、起案が多くて成功するプロジェクトが多くないと成り立たない。だからなおのこと、市場を大きくする必要があると思います。

 起案者の立場だと、それだけの手数料が必要かどうか、その根拠はあるのかというのはプラットフォーム側に問いたいです。20%だったとして、1億円だと2000万円かかるわけで、そこを使うことに2000万円分の価値はあるのかと。それこそ1億円規模のプロジェクトが現実として出ている状況ですから、払うだけのメリットを起案者側に提示しないといけないとも思います。

 先ほどの、今のシステムを信用していないという話にもつながりますが、しっかりした顧客対応ができるクラウドファンディングのAPIに自前の決済方法と、自分のブランドに価値を持っていれば、自前でできて、その分のお金が使えるわけですから。そういう未来が来る可能性も否定できません。

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