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借りたい人と貸したい場所をマッチング--軒先が覆した不動産の常識 - (page 3)

加納恵 (編集部)2018年12月05日 08時30分
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スペースシェアリングは不動産ビジネスの最終兵器

——銀座の高級クラブを使って、昼間に商談などの活用があったら、おもしろそうですね。そう考えるとまだまだ確保できるスペースはありそうです。

 それはすごく面白いと思います。例えば昼間使った人は夜の割引があるなど、やりたいことはいろいろあります。ただ、どこから攻めるかが難しいのですが(笑)。

 日本では、商店街の中の空き店舗といったスペースは見つかりやすいのですが、路面店のような場所を探そうとすると途端に難しくなります。今後はそういったスペースの確保にも努めていきたい。やはりオーナーの方が短期の貸し出しに前向きではないので、スペースの価値向上という部分をどう訴えるかがポイントですね。

——スペース確保の一方で、貸し出しスペースに対する価格づけもかなり重要になってくると思います。シェアリングサービスでは、システムの中にレコメンドや価格の動的変動などを取り入れているところもありますが。

 現在、その部分を進めるためにデータを集めている状況です。一部、人的リソースを使って価格変動などに取り組んでいますが、将来的には機械学習などを使って、対応していきたいと考えています。

 イベントのあるなしで、価格を上下させるのはもちろんですが、コンサート会場周辺であれば、アーティストの人気度合いでも料金は左右されますし、一次情報だけでは踏み切れません。

 価格付けは本当に難しくて試行錯誤しているのが正直なところです。ただ、うまくいったケースも失敗したケースもあって、その辺りのノウハウがかなり蓄積されてきていますから、それをシステムに反映させていくことで、精度の高い価格付ができると考えています。

——軒先パーキングを考えると、自動運転やEV車の導入なども影響しそうですね。

 すごく変わると思っています。年明けには、EVステーションとして使えるスペースの確保も始めます。充電ができれば、必ずしも駐車場である必要はありませんから。

——その辺りが今後の展開でしょうか。

 そうですね。EVステーションを確保しつつ、サービスとしては「軒先○○」といった横展開をしていくつもりです。ウェディングやスポーツなど、いろいろ考えられると思います。

 スペースの短期貸しは、賃貸契約前の期間や、解体前など、あらゆるスペースを活用でき、活用することで建物の価値をあげられます。空きテナントが増えるとビル全体がゴースト化してしまいますが、それも食い止められる。不動産の最終兵器的なビジネスだと思っています。

 今後は企業不動産のスペースにも着目していて、その活用を進めていきたい。現在は閉じられたスペースですが、開放すればかなり大きな可能性が広がると考えています。

インタビュアー

赤木正幸

リマールエステート 代表取締役社長CEO

森ビルJリートの投資開発部長として不動産売買とIR業務を統括するとともに、地方拠点Jリートの上場に参画。太陽光パネルメーカーCFO、三菱商事合弁の太陽光ファンド運用会社CEOを歴任。クロージング実績は不動産や太陽光等にて3500億円以上。2016年に不動産テックに関するシステム開発やコンサル事業等を行なうリマールエステートを起業。日本初の不動産テック業界マップを発表するとともに、不動産テックに関するセミナー等を開催するほか、不動産会社やIT企業に対してコンサルティングを実施。自社においても不動産売買支援クラウド「キマール」を展開。2018年、不動産テック協会の代表理事に就任。早稲田大学法学部を卒業後、政治学修士、経営学修士を取得。コロンビア大学院(CIPA)、ニューヨーク大学院(NYUW)にて客員研究員を歴任。 

 

川戸温志

NTTデータ経営研究所 シニアマネージャー

大手システムインテグレーターを経て、2008年より現職。経営学修士(専門職)。IT業界の経験に裏打ちされた視点と、経営の視点の両面から、ITやテクロノジーを軸とした中長期の成長戦略立案・事業戦略立案や新規ビジネス開発、アライアンス支援を得意とする。金融・通信・不動産・物流・エネルギー・ホテルなどの幅広い業界を守備範囲とし、近年は特に不動産テック等のTech系ビジネスやビッグデータ、AI、ロボットなど最新テクノロジー分野に関わるテーマを中心に手掛ける。2018年より一般社団法人不動産テック協会の顧問も務める。

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